アナベル・ビュッフェ「あやつり人形は三回まわる」単行本

●1991年
●作者:アナベル・ビュッフェ(訳:宍戸游子)
●出版社:中央法規出版



■画家、ベルナール・ビュッフェの奥さん、アナベルによるエッセイで、フランスでは1973年に出版されたもの。
ベルナールの事、子供たち、仕事、休暇、友人、愛の事、過去と現在…など、女アナベルとして、マダム・ビュッフェとして、日々の生活の中で、感じた事、思った事がその時の気のままに綴られていて、アナベルが深くベルナールを愛し、そして尊敬していたかもよく分かります。
この本ではじめて知ったのですが、アナベルは両親共、自殺によって失っていたんですね。そして…1999年には夫のベルナールまでも自殺。アナベルの悲しみはどれ程深かった事か…。
絵を描く事がすべてだったベルナールがパーキンソン病を患い、絵が描けなくなった事に悲嘆しての自殺だったそうですが、この本の中には「3年程体調を崩していた」と書かれていたので、ベルナールは以前から病気がちではあったようです。
後のビュッフェや生活を予期していたような文章もありました。

この本を翻訳した宍戸游子はエースのジョー、宍戸錠の奥さんだそうで、彼女がこの本を知ったのは雑誌に紹介されていた昭和47年の事。
担当者に連絡し、お会いした際に頂いたのは原書。
フランス語が全く分からない彼女はこの本を翻訳すべく、フランス語学校に通うも挫折…。
その後、何度も挫折、中断を経て1991年にようやくこの本が出版されたのでした。(オリジナルは300ページ程あるそうですが、この翻訳版は抄訳したものになっています)

宍戸游子さんはすでに故人…。ベルナール・ビュッフェもアナベルも既に亡くなっていて時の流れを感じます…。


あやつり人形は三回まわる―女、そして40歳から/中央法規出版
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