ミシェル・シリー「GENITRIX」挿画本

●1968

●Author : François Mauriac

●Publisher : Les Centraux Bibliophiles

●Edition : No.39 of 140copies.

●Images : Etchings,Aquatints

■前回、ミシェル・シリーの挿画本記事を掲載したのは、もう2年近く前になるんですね…早いです…。

ノーベル賞作家、フランソワ・モーリアックによる「ジェニトリクス」。「癩者への接吻・母」というタイトルで翻訳もされているそうです。

シリーの挿絵は年代に寄って画風が変化していますが、この作家としての個性確立後の1968年の作品では、宗教的で精神的なリアリズム・タッチの銅版画で製作されています。

タイトル・ページなどには、挿絵の技法が“Gravures Originals”としか記されていませが、見た感じではエッチングとアクアチント併用によって刷られているように思います。

銅版画の製作はラクリエール＝フレロー工房。

銅版原版が用紙より大きいようで、挿絵にはマージンなし。

出版されたのは1968年ですが、挿絵にはサインと共に“66”または“67”と刷られた挿絵もあるので3年程に渡って製作された作品である事が分かります。

●装丁

●挿絵のインクが向い合ったページへ写るのを防ぐため、保護として用紙が挟み込まれている事があります。薄葉紙である事が多いですが、時々、このような模様（？）入りの腰のある用紙の場合があります。この用紙は何と言う種類なんでしょう？

ちなみに、挟み込まれた用紙自体が無酸性でない場合もあり、そのために経年によって本文（挿絵ページやテキスト・ページ）が変色してしまっている事もあり、保護紙がある事が良いとも言えないのです…。