くだんのはは
今日は懇意にしていただいている役者上川さんの舞台を鑑賞してきました。
衣装担当が私のお友達。
ほんとに感想だけなので、ご興味のある方のみお読みください(*´∇`*)
くだん、件と言えばホラーファンなら耳にしたことのある江戸時代から出現の記録のある妖怪ですな。
それがタイトルになっているので、怪奇小説なのかな?と思うかもですが、原作を読んだ感想は短いヒューマンドラマ。
それぞれの人物が戦時中の背景を受けて様々な思いと行動に出る。
人の業の深さや恐ろしさも感じ取れる。反戦だとか件を生み出さない様に行いを〜などの受け取り方は人それぞれなので、私はそこらへんの重さに目を閉じたいタイプなので閉じておくw
戦時中のリアルな世界と日本人の心の描写。
そんな陰鬱な時代背景の中、別空間なのか?と思わせる奥様とお屋敷の様子が対照的でとても幻想的なので屋敷での話は少しうっとりとしてしまうw
この小説を、今回初の舞台化を成し遂げたのが「かみかわ企画」。
舞台化が初ですって?こんなに有名な話なのに?と、まさか知り合いがその初めてを実現するとは…。誠に喜ばしい事です✨
そして、原作に忠実なのがまた良かった!
主人公の良夫目線で語られる物語。
キャラ分けして感想を述べたいと思う。
良夫
青年良夫から少年良夫、またその逆への早着替え。少年時の姿の時に、後に分かった事実を大人良夫の言葉で語る姿は顔がきちんと大人に戻っており、変化が見て取れて素晴らしかった。
クライマックスでの悪い考えを閃いた良夫(個人の感想)の表現は、舞台第一作品目の羅生門の下人が降りてきたのかと思ってしまったw
なるほど、上川さんの悪い顔はこれなんかwと思ったのは私だけだろうかw
切羽詰まった人間は割と同じ感じにはなると思うので違和感は無いが、全てのかみかわ作品を見た者としては生き死にの中での開き直りに近い閃き(羅生門)と全てを憎む若者の行き場のない怒りの閃き(良夫)では別の顔を見たいなと思った。
良夫父
小さいながらも自分の城を失った男(良夫父)の姿はとてもリアル…。自分の父がまったく同じ事をした(あっw)ので、多くの男性がこれやるよなって納得ww
茫然自失からの逃げる様までリアルで良かった。
おさきさん
献身的な姿がとても日本人女性らしくて良かった。おさきさんの役は、人物をつなぐ大事なポジション。役者さんがお若いので、原作の私のイメージと違うかも?などと懸念していたが、優しげで甲斐甲斐しい演技に違和感なく見ることができた。
奥様
戦時中の疲弊し、汚れ荒んだ人々とは対照的に、透明感のある美しさがあった。
誰にも話せない秘密を抱えていると、一度口にしてしまえば止まらなくなる激情。ハッと我に返り冷静さを取り戻す演技がとても良かった。
今回の公演でのハプニングだが、良夫との会話の最中にかんざしが床に落ちてしまったが、それを拾い上げ、演技しながら髪に挿し直す動作がとても上品でセクシーだったw
クライマックスでは、娘を抱きしめる母の愛を感じられた。どんな姿でも愛しい娘ですから当然。
悲しい笑顔が印象的。
こうならない親も多いでしょう。
守神のおかげで裕福な暮らしをしているから成せる愛なのかもと邪念が働く汚い私も見えたw
良夫に隠す気なかったよね…?
知られてホッとしたよね?と、小説を読んだときは戦慄した部分。
その他
ピアノ演奏しながらの歌のシーンでは、少し歌が多かったのではないかと感じた。
その歌詞に大事なセリフが隠れているのに、多すぎて全部拾えないので見ている集中力が切れてしまったのが残念。
歌は1発目だけで印象付けられると思った。
多いとそこだけミュージカル風に感じる。
黒子集団
これ、とても良かった!単に舞台装置を変えるだけでなく、しっかりと民衆の声などを表現していた。
うねうねとした動きから、浮かばれない魂のはいずる姿にも見えて、戦時中の悲惨さを強調出来ていた。
ベルセルク知ってる人ならわかると思うんですが、日光のある時の弱めの死霊の感じを思い出した。(漫画ネタですみません)
衣装と舞台小物
ま〜時代背景に合わせて良くここまで再現したな!!と感心した。
女性従業員のスカートが巻きスカートなんだが、同じ昭和でも巻く向きが違っていたりするこだわり様。これは誰も気がつかないと思うので知ってる人が気がつくとめちゃくちゃ嬉しいやつw
ラストでの娘ちゃんの頭が大きすぎて、せっかくの綺麗なお着物があまり見えないのが残念だった。
照明で頭部だけ目立つので頭は一回り小さくても良かったのかもと思う。
作りも、もう少しリアルでも良かったかもしれない。せっかくの演技が視界に入る頭に持っていかれた。
開演初っ端の現代(s42年)人の3人がどんな時代背景だったのかをコミカルに話し出す前口上は楽しく、すんなりと頭に入ってきて大変良かった。
と、まぁ、あらすじはそっちのけでキャラ別に印象に残った感想を述べてみましたw
残り公演、8/26と8/27があります。
席、まだあるかなぁ?とても良い舞台だったのでお時間のある方は是非ご覧ください!!
↓かみかわ企画↓