勝敗は自転車の性能のみで決まらず
操縦者の脚のみで決まらず
ただ、結果のみが真実ーーー



2日目、ケイリンのレポート。

このケイリンという種目は自転車競技の面白さが詰まった競技だと考えている。
私はこの競技が最推しなだけあって得意(だと思っている)な種目なので今日は優勝したいと思ってました。
過去の戦績語るのはアレだけど2020のこの大会では当時シマノレーシングの一丸尚吾選手とハンドル投げの戦いで負け2位。昨年は都合で出れず2年越しのリベンジに全競技人生を掛けて挑んでいた。
仕上がりも上々で調子もそこそこ良い。強いて言うなら昨日のスプリントで計7本もがいていて階段を登るのが辛い位である。

アップとかその辺の話は割愛
寒いけど昨日よりは暖かくバンクも走り易くコンディションは良さそう。


機材 エレクトロンプロ リオ

イオコメ、ギア板digilit58T  リア13T

タイヤフロント19c 12bar リア23c 10bar




少し前にポジション見つめなおしてイジったのがどう出るかがきになるが昨日ある程度走れてるのでいいだろう。


ケイリンの予選

6名中3名が予選上がり決勝

その時点で6位確定、敗者復活戦は無しだからワンミスは許されない。時間余裕あるしあって良かったんじゃ


注目はBMの齋藤。今年のJBCFトラックシリーズケイリンで全部表彰台の実力者。次に保土ヶ谷の山形、彼は国体経験有り、今年の記録会で戦ったが走れる選手。R'sの河地選手は昨日のスプリントでは調子出てなさそうだけど一瞬が怖い。まずはこの3人。あと2人は展開次第で雪崩れ込める脚は有るので注意はする。





並び

齋藤ーカズサー私ー山形ー河地ー山岡


予想

齋藤はとにかく自分のペース、300m位になったらそのまま先行してゴールに合わせて来る、捲られても3着には入ると思ってそう。

後は山形が先行する可能性も有るけど、埼玉が産んだ予選番長こと私の番手をわざわざ外れる必要も無いだろうから私が頃合いを見て先行して逃げ切りが無難な戦い方か。

その後ろも有力番手からわざわざ外れた捲りを打つ必要は無さそうなのであとは3人に捲られないことだけ。


スタートから700mでカズサが1番手に上がって行き600あたりから速度を上げ始める。これは少し予想と違うが、このままだとタイミング来たらナッパ砲が出る展開。正直都合は良くてそのまま着いて行けば3着は硬い。車間を一度開き、2コーナー明けに詰まるように調整しながら少しずつ加速。詰まるタイミングで齋藤が始めないのでなら行かせてもらうという事でスタート。

齋藤が反応して横並びで粘るも流石に速度差付けたスタートとギア比で先行。自分のルートを綺麗に走り振り向いても1着が硬いので流してゴール。

写真見たら山形君が思ったより近い。






順当に私ー山形ー齋藤で決勝に

感想としては感覚は悪くなくて周りの人も良く見えるし、やはり競争中は身体が元気になる。レース中しか得られない何かがあるのを感じた。
懸念点はもう少し離せたかな?と思った山形選手などが案外後ろに着いてきてたので今回より長いロングスパートや1走での先行は通用しないなとは実感。ただ自分の走りをできたら勝ち筋は見えた。
私がそのまま引き連れてもうちょっと速ければ齋藤が予選落ちしてたところだったが流石である。
昨日からガッツのある山岡選手や先行したカズサ、河地選手も強敵であった。もっと速くなってちょちょいと虐殺したい。


オムニアムで死亡してる蠣崎選手のマッサージをする


昨日から同行してる選手同士の助け合いも必要な部分である。


らんちゃんがんばってた!



ケイリン 決勝
メンバー
1 立命館  富倉 
2 ABG        私
3 TONY      井上 
4 岩井商会 林 
5 保土ヶ谷 山形 
6 BM          齋藤 

予想
まず1強で岩井商会の林選手。東日本では登録選手優勝、昨日のスプリントで2位の強い選手、先の予選でも自力で他の追随を許さないスプリントで勝利。ここがキーポイント。
次は山形、さっきの予選では番手に着いた時のラインと加速はあるので林選手の番手は死守して良い走りをしそう。ここを捌いて林選手の番手に入れるかもキーポイントになるか?
次に齋藤、予選から調子は良さそうではないけど上手いのでなんとかして来る気がする。でもとりあえず倒す。
井上さんはきっと私の番手だからそんなに動かないで冷静に走りそうなので深く考えないでいいか。
富倉選手はよく分かってないけどこのメンバーを乱せる領域ではないだろうとは思っていたので、1走で自暴自棄になって先行したら上手く使う予定。そうじゃなくても車間切って捲りに対応に全振り。

私ギアは58-12(4.83)に換装して最高速×持久力を上げた。今迄競争で慣れ親しんだギアである。皆信じてなかったけど。

ギアが重いので自ら先行しても付いて来る可能性は高い。なので先行するにしても3コーナーから。少なくとも林選手に勝つためには彼より重いギアで回すこと、先行されたとして番手に入れたら勝機はある。最悪のパターンは1走がタレてどんずまる事。それにビビって私が先行、林選手が引き連れたまま抜いていき下位へ。少なくとも2〜3位で良いなら絶対的に先行は自信があるがこの舞台、優勝以外考えて居なかった。

ケイリンの2番手は実は難しい。かなり良いポジでやれる事が多い。やれる事が多いと言うことは選択肢が多いため思考に時間がかかる。私は常に数通り作っておいて最適解を取捨選択し続ける方法でレースを行なっている。一つでも勝率が高い方へ。

基本的方針は林選手の番手。前の位置を生かしてギアの重さで遅れるまえに合わせきり最後にさすこと。勝ち筋は見えた。


スタート。程良い緊張感。ケイリンはトラックでは花形種目。見易い、分かり易い、速い。観客や選手達の注目も感じる。妻に『勝つから見に来て!』と召喚してしまった。たまにはカッコいい所も見せたい所だ。ギアを重くしたが漕ぎ出しも軽くて調子は良さそうである。
前の立命館の選手、なんとなく1走慣れてなさそう。一度も振り向かない。1走がある程度速度を上げてバックあたりで捲って2番手が先行したとする。その際2番手がそのまま勝ち切るには後ろの距離感と力量が絡む。
少なくともハロンがけでは抜かれなくてもこれは抜かれやすい。そもそも練習でやってて齋藤からそれで逃げ切れるのもそこまで確率が高くない。齋藤より良いタイム出せるやつが裏にいて分かり易い力勝負で優勝なんてそんな勝負は甘くないと考える。
残り600m立命館の選手が速度を上げ始め、早がけ、見るからに神風、命尽きようとも走り切るそんな背中に見えた。普通ならこれ幸いと良い発車台になっただろう。だが、ここはトラックレースの決勝、欲しかったタイトル自分と同じレベル、またはそれ以上が居る。普通のことを普通にしてやり切った感とか要らない。欲しいの優勝なのだ。


だから私は無視をした、見ないふりをした。見える速度、速さなど考えた。ここをただ追いかけてやったら勝てないんだ。私が6人居たとしたら勝つのは違う自分。後で聞いた話では会場はどよめきが。『オープンだから無視したんでしょ?』そんなことも言われた。そんな筈はない。仮に2着で表彰だけ1位でも胸を張って1位と人に言えないだろう。そんなクソみたいな戦いはしない。

全ては戦略であった。予選から脚を見ていたので予想では後ろの選手600からやってるとなるとタレるのも含めて前の選手はトータルで2.5秒差までいける。約50m。まだ余裕があった。


でもなぜこんな車間を開いたのか、読者、観客は理解できて居なかったみたいなので私の考えを少し書かせてもらう。

①私は追い付ける算段と自信があるので自分のタイミング走り方に集中できる。

②焦った誰かが無理にでも前に出る動きをする。(ロードの中切れ見た選手がよくあるアレ)

③ ②を行った場合自分のやりたい距離感よりは少し早いタイミングでかけ始める事になる。

④そしてこれをやる人は自力で動ける人間=強者



名前をあげると齋藤か林選手が出る。これは確信していた。目標は林選手だが齋藤でも必要充分な加速と最高速まで引っ張ってくれる。私はその飛び出た2人どちらかの番手に合わせてこのコンディションではおかしいレベルの重ギア(4.83倍)を遺憾無く発揮し残り80mで最高速に到達した私は回し切った1走をぶち抜く。優勝である。


問題は後ろの飛び出しに着いていけるかである。約0.6〜0.8倍は重いギアで反応するために、若干自身で速度を上げていく、残り400m1周のラインを越える時に最後尾の齋藤が出るのが見えた。自転車1台約1.7m若干空間含めて5.5m先行していた。

この5.5m、タイムで表したら大したものじゃない。時速55km/hと60km/hなら1secで1.39mの差が縮まる。不意をつかれても齋藤が私を抜かすまで約4秒は少なくてもかかる、その4秒もの時間を私は加速に当てられるんだ。そして残り400m、時間にして約24〜5秒で決着がつくだろう。かけ初めの差、ドラフティング、最高速全てを考えると残り200mでドラフティングに入り、80mで頭打ちで少しタレる。その瞬間には重ギアで最高速にこれから突入する私が待ち構えてる筈だ。勝った。勝利である。並び的には齋藤の番手に林選手が来るだろう、ここで3番手に回るとゴール前に抜ききるのは絶妙な部分である、2番手の位置を取り林選手を外に出すのが最も効率的である。そっちが加速したらそっちに乗り換えてもいいしね。


徐々に加速していく私、脚が軽い、ギアを感じない。2コーナーを抜けるあたりで齋藤が見えて来た。よし、このまま齋藤の番手に入るぞ、

あ......れ......?バックストレートで並走し続ける齋藤。

思えば競技人生で最も横で同じ速度を走っていたのはコイツだった。



4年前
とある埼玉の練習でそいつは現れた。
彼は自らを『パレサイの帝王』と名乗った



少し大柄で吹奏楽をやっているみたいだ
『俺は山手線の内側で産まれたスプリンターナッパって言います。あるさん何か速いみたいですよねいっちょ勝負しましょう』と言いやがる。
ロード練習で2時間のエンデュランス走のつもりだったが付き合ってやる事にした。私はJBCF E1、なんなら  E3.E2.E1で全て優勝している。ロード界でのスプリント力ならJPTにも負けない、本物のパレサイの王はこの私である。そんじょそこらのイキりゴリラに負ける筈が無いのだ。

お互いに顔を見合わせてスタートする、直ぐに60km/hを越える、大抵のやつは60出せるとか言う割にここで千切れる。どうだ?と横を見ると並走してきていた
『やるじゃねぇか、でもここからだ』とシフトアップし更に加速を維持自分でも良い走りである。だが奴は張り付き続けた。脚も辛くなる、でも負ける訳にはいかない私がパレサイの王だ。王様は2人も要らない!
そして結局ゴールラインも決めていないためどちらともなくスプリントは終わる。『へっ、やるじゃねぇかおもしれーゴリラ』
そう、この時からこいつは私の横を走っていた。



バックストレートに入り齋藤との並走を続ける、なんだか1番慣れた感覚だった。もっと速度を出して抜き去って欲しい。が、寧ろこのまま自身で加速し切って前に出るか.....!?さまざまな思考が巡る。すると齋藤の影から林選手が更にまくりだし3列に.....残り250m、少し先行する林選手、待ってくれ私はそこの番手に入りたいんだ。しかし齋藤と完全に並走しているため全く動く事ができない。このままでは行かれてしまう

林選手が少し前に出た事で視線が変わり、前にヤバいものを確認する。(知ってたけど)

タレてきた立命館の選手だ....!!

これは湾岸ミッドナイトでよくある黄色いトラック。横には重いゴリラ、このままでは時速60km/hオーバーで確実におカマを掘ってしまう......!!齋藤を押し上げるか?ブルーバンドへ逃げるか......いや、両方とも危険過ぎる......そこで私はこのレースを諦めて鬼のフルバックをした。がしかし.....私の4.83倍、かつスプリントしている慣性を止めきる事はできない、なぜならブレーキがついていない。

物凄く絶妙なライン取りをしつつ落車を回避、立命館の選手には若干ぶつかったけどセーフ(ごめんなさい🙏)

最後は流してゴール

5位となった。




敗因は齋藤との並走で身動きが取れない事であった。

番手を取る動きは予想していたがまさか並走になるとは、脚の調子が良過ぎてしまった。これは予想できなかった。

逆を言えば並走さえしなければ正直勝機はあった。負け惜しみだがいける脚と展開だった。


普通の人は1走の早駆けを何故追わないのかと思うだろう。自力で行けと。それも一理ある。結果としてこうなってしまったのも事実だ。ただそれをやって優勝できると自分を信じきれなかった、自身の力を付け自力で勝てる選手が最終目標である。

そして順当に勝ち上がり、1番やりたい走りで勝った林選手、展開を考え冷静に1番順位を上げられる位置で動いた山形選手は強かった。

そう......

勝敗は自転車の性能のみで決まらず
操縦者の脚のみで決まらず

ただ、結果のみが真実ーーー


最後に、応援してくださった皆様、ご期待に添えず申し訳ない。ただ自分の最高を出すため信じた方法、タイミング、迎え撃った事は今でも間違いではなかったと考えています。いつか活躍できるよう更なる努力を続けますので応援よろしくお願いします。



長文ご拝読ありがとうございました。



text:あるびの



   すぷりんたぁ幼女。幼女県出身。2015年にロードバイクと出会い、2016年に大阪東京キャノンボールを23時間で達成をした。現在AutoBahnGotemba所属し2017年にJBCF登録する。年齢4歳。jbcfE1。2018年大井埠頭ロードレースE1優勝。2020JBCF全日本トラックチャンピオンシップケイリン準優勝。zwiftによく出没する。愛称は『あるちゃん又は幼女』。結婚してミニバンを乗り出したのでもうそろそろ死にそう。