『永遠の0』 | イラストレーター村田峻治の日常

『永遠の0』

観てきました『永遠の0』



はっきり言っちゃっていいですか?つまらなかったです。

確かに話しは良く練られてるとは思いますが、所詮架空の話しです。

話しの端々に『この話し、感動するだろ?』『特攻って悲惨だろ?』というあざとさを感じました。

特攻が常軌を逸した愚作で、大勢の若者の命を無駄死にさせた悲惨な事なんて、この映画を観なくたって皆知ってます。

何度も出てくる『死んでいった人たちが生きていたらどんな事をしただろう?』

この話しもねえ、松本零士の戦場マンガシリーズで30年以上前に沢山描かれてますよ。

零戦を神格視しても仕方ないんです。

あれは大いなる欠陥機なんですから。

確かに零戦が強かった時期はあります。

日中戦争の時は性能的に抜けていましたが、太平洋戦争のごく初期は熟練のパイロットの腕と相まって、結果的に強かっただけです。

戦争末期のマリアナ沖海戦なんて『マリアナの七面鳥撃ち』なんて言われる様な屈辱的な戦争だったんですよ。

非力なエンジンの性能を補う為にモノコックのそこら中に穴を開け、コクピットの防弾板もない。

搭乗者の命を軽視してまで作られた戦闘機を設計者の堀越二郎はどう思っていたんでしょうか。

今作を観ると『風立ちぬ』で宮崎駿さんが零戦じゃなくて本当の傑作機だった九六式艦上戦闘機の試作機、九試単戦の方にスポットを当てたのが分かる気がします。

それにね、戦闘機に乗って特攻したと同じ位、いやもっと悲惨な事は沢山有ったんです。

それこそガダルカナルやインパールで、補給も受けられず、弾どころか食料も無く、闘う前に飢えやマラリヤや赤痢で何も出来ずに無駄死にした兵隊は沢山いたんです。

本土でも日本焦土化作戦の無差別爆撃で100万人以上の市民が死に、沖縄でも住民が沢山犠牲になったんです。

特攻だけじゃなく、玉砕なんて集団自決まがいの事も沢山有りました。

今作を観るなら実話に基づいたクリント・イーストウッドの硫黄島二部作を観た方が良いです。

後は身内に戦争体験者がいる人はその人たちの生の声を訊いてください。

そして 本当に有った事に目を耳をきかせてください。

本人の体験に基づく水木しげるの戦記物を、大岡昇平の『野火』や『レイテ戦記』を読んでください。

皆が今考えなきゃいけないのは、あんな愚かな、屈辱的な戦争をしたんだという事実。

ブリキの戦車を造らせた連中、特攻なんかしなくてはいけない様にした連中が居たんだという事だと。

これは靖国神社の問題と無縁じゃないんです。