Gran Torino | イラストレーター村田峻治の日常

Gran Torino

Gran Torino(2008)
アニメーター村田峻治の日常-Gran Torino

良い映画だった。

だが、一言いっておく。

幸い今の自分の交友関係(ネット上も含む)には居ないが

SNS等でバーチャルな友人数を無意味に増やしたりして友人が多いと勘違いし

最後に号泣しましただの日記等で宣っている様な輩に

この映画でClint Eastwoodが何を云いたいのか分かりはしまい。

彼はそういう連中に怒っているのであって

お涙頂戴の映画を撮ったのではない。

ラストは文字通りClint Eastwoodが長年描き続けているニヒリズムだ。

世の中にはどうしようもない事、綺麗事では済まない事が沢山有る。

孤独を恐れず、真実に目を背けない事は実際には困難だ。

群れた方が楽だろう。

彼自身、カトリックでアイルランド系(イタリアの血も入ってはいるが)という

ある意味マイノリティな出自が監督としても俳優としてもこういったニヒリズムとして出るのだろう。

アメリカ車の72年型Gran TorinoTOYOTAとの対比も含めて使われているのも

今となっては滅び行く旧き良き物に対する隠喩であって

別に車である必要はなかった。

だからアメ車好きが変に絶賛するのには、映画の本質を捉えていないので同意出来ない。

劇中の台詞に『男は話のネタとして今居ないヤツの悪口をいえ』という様な件があるが

最近ネット上やHOW TO本でよく見る『人の悪口を言う男はモテない』等という軟弱な傾向に対する Eastwoodの憤りだろう。

確かに泣けるラストになるのだろうが、自分はプラスの意味で泣く気にはならなかった。

敢えて差別的な人間を演じたのも反骨心からだろう。

彼自身従軍した朝鮮戦争(実際には後方の補給部隊だった様だが)の経験も生かされている。

ある意味彼の半生を象徴する様な作品にはなっている。

それが35年以上Clint Eastwoodという人の映画を観続けてきたファンとしての感想だ。

【グラントリノ】