【EPISODE.17/発生後期:最強を目指す男】

なにやら奇妙な人物が登場する。まだ若い。ブルース・リーに憧れているらしく、黙々と肉体強化に取り組んでいる。鍛錬の成果を試す相手として、男=倉田はゾンビを選んだ。確かに技をかける対象がゾンビならば、殴ろうが、蹴ろうが、投げ飛ばそうが、どこからも文句は出ない。とは言っても、夜間、たった一人で死霊の森に身を投じるなんて芸当は、常人には考えもつかない発想である。少々狂っているような気もするが、それなりに肝の据わった男なのだろう。

〔死霊の森〕などと、何気なく書いてしまったが、ゾンビを集める一画―ゾンビ収容所とでも呼ぶべきエリアが、都市の中に設けられているようだ。あまりに数が多過ぎて〔焼却処分〕が追いついていないとも考えられる。管理体制は厳重とは言い難い。金網のフェンスで〔森〕を囲っているだけである。ゾンビにはフェンスを攀じ登ったり、押し倒したりする知恵はないのか…。倉田は風変わりな稽古(本人は〔実戦〕のつもりらしい)を重ねるが、このようなことがいつまでも続く筈がない。案の定、凄惨な末路を迎えるのだった。自業自得ではないかと、俺は思う。


【EPISODE.18/発生中期:地獄】

薙刀少女―戸田凛子の出番である。庭の倉庫に避難したものの、周りはゾンビだらけである。凛子、恵、あかり…三少女の会話ややり取りは時にほのぼのとしていて、笑いを誘うことさえあるが、彼女たちが置かれている状況はかなり緊迫している。死霊の群れを突き破る三人娘の決死行が再開されるわけだが、今回から〔赤ちゃんを守る〕という新たなミッションが追加されるのだ。

娘たちが守護する赤ちゃんは、あかりの義姉が、自ら腹を切り裂いて産み落とした子供である。彼女もゾンビ・ウイルスに感染しており、死霊化は時間の問題であった。そして、彼女が自分の死よりも恐れたのは、胎児感染であった。我が子を死霊化から救いたいという気持ちが、大胆な行動を可能にしたのだ。

母は強し―とは言うものの、なかなかできることではない。息子の誕生を見届けた義姉はその場で息絶えるのだった。息絶えたと言うことは、死霊化が近づいていることを意味する。

娘たちが作戦を練っている間にも、死霊化は確実に進んでいた。人肉を好むモンスターとなって復活した義姉は、最初の獲物として、我が子を喰らおうとするのだった。間一髪、凛子の薙刀が閃いて、ゾンビ義姉の首を宙に飛ばす。この光景を、あかりは〔地獄みたいな世界〕と表現している。彼女は大粒の涙を流すが、

「こんな地獄のような世界でも、命が生まれてくるということが、逆に希望なのかもしれない」

という凛子の台詞に励まされ、勇気づけられるのだった。熱い台詞であり、これは、ある意味〔地獄みたいな世界〕に生きている俺たちへ向けられたメッセージのような気がしてならない。あかり同様、俺も泣いた。