葉月某日。この日は疲れていた。家に戻り、雑用を済ませ、シャワーを浴びてから、ようやく、待望の晩酌タイムがやって来る。無意識的にラジオのスイッチを入れると『カウントダウン・アニメ敵キャラクター』なる番組をやっていた。NHKラジオ第一は、時折こういうものを放送するので、なかなか侮れない。主役ではなくて、敵役の人気者を選出しようという発想に関心を覚えた。
最近の動画事情には疎いので、作品名や人物名を聴いても、咄嗟に映像(顔)が浮かんでこない場合もあったが、そういうところも含めて、興味を刺激する内容になっていた。当然、俺の嫌いな作品に話がおよぶこともあったが、我慢して聴いていた。そういう際は酒が役に立つ。
同番組の解説を担当している藤津亮太氏は、流石に〔アニメ評論家〕を名乗るだけあって、知識や話題が広範囲に亘っていた。評論家たる者は「そんなのは知りません」では、許されないし、済まされない。ただ、個々の掘り下げに関しては、やや浅い(甘い)かな…という気もした。とは言え、限られた時間で、あれだけ喋れたら大したものだ。どこやらのタケダ教授も見習って欲しい。
番組の後半には、武論尊先生が『北斗の拳』秘話を語るコーナーが用意されていて、オールド・ファンを喜ばせた。先生の肉声を聴くのは、多分これが初めてである。俺は熱烈な『北斗』ファンではないけれど、相当な影響を受けているのは確かだ。武論流悪役論は実に楽しかった。
悪役論は、次第に人生論や作劇論の様相を帯び始め、論中の「俺はジャギに似ている」「先の展開なんて、何も考えてなかった」「とりあえず、シルエットだけ出しといてくれと、原先生に頼んだ」など、大胆な発言の数々に笑いを誘われた。このインタビューはかなり貴重だ。聴き逃したファンやリスナーのためにも、再放送をお願いしたい。
番組の最後に〔あなたが好きなアニメ敵キャラクターベスト10〕が発表された。第1位に輝いたのは、なんと、アンパンマンの好敵手=バイキンマンであった。他にデスラー、シャア、銭形、ディオ、カーズ、ドロンジョなど、俺好みのキャラクターが何人も選ばれており、事前の予想を―良い意味で―裏切る結果となった。投票者の見識の高さ(?)に驚かされ、その夜の酒は、いつの間にか、祝杯に変わっていた。ディオとカーズが票を集めたことにも、心強さを感じた。我らが〔ジョジョワールド〕は、まさに敵役(悪玉)の宝庫であり、ジョジョの歴史は、悪玉の歴史とさえ言えるのである。もし、同番組の続篇が放送されることが決まったら、その際には俺も〔吉良吉影〕と書いて、一票投じるとしよう。あっ。その前に第4部の動画化をしてもらわなきゃならないですね。
再三言っているように、吉良吉影の声には、山寺宏一クラスの大物を起用する必要がある。余程の実力者じゃないと、彼が持つアクに強さに、演者が負けてしまうからである。脚本やシリーズ構成も、吉良を中心に組んだ方が、断然面白くなると思う。原作に忠実な姿勢…も、大変結構だが、それが当て嵌まらない場合もあるのだ。手を加え過ぎると、荒木先生のお叱りを受けるかも知れないが、敢えてやっていただきたい。