ブログネタ:釣りしたことある?
参加中子供の頃、でっかい湖の近くに住んでいた。都会と異なり、田舎の遊びはヴァラエティに富んでいる…とは言い難い。暇を持て余した餓鬼どもが、湖に繰り出すのは当然の成り行きと言っていい。冬場はさすがに無理だが、釣りは俺たちにとって、最も手軽な遊びのひとつだった。道具の調達にも手間はかからない。我が村にも釣具店があった。釣具全般と蝋燭類をあつかう不思議な店であった。
釣竿とリールを買い揃え、湖岸から絶好水域―だと、自分では信じている―に向かって、グルテン系の餌で固めた複数針を投げ込むわけである。狙いはコイやブラックバスだが、彼ら大物を釣り上げたことは一度もない。毎回空振りである。釣りに限ったことではないが、我流のやり方では大きな成果(この場合は釣果)は望めないし、俺自身に〔釣りの才能〕というものが致命的に欠落していたようにも思われた。釣りは難しい。教科書や指南書通りに展開が進まないのは将棋以上であった。この違いは、自然相手と人間相手の違いであろうか。
そんな俺にでも釣れるのが、ブルーギルであった。なにやら、悪の秘密結社に所属している殺人サイボーグめいた名前だが、面構えも姿形もなかなかに凶暴である。これを怪人化すれば、仮面ライダーやキカイダーの敵役として充分通用する。武器は強力な牙と針状の背鰭である。水中戦を得意とし、沼に引き擦り込んだ獲物(※主に子供。肉が柔らかいから。肉が硬いおっさんおばさんは助かる可能性がある)を頭から食いつぶす化物だ。同類として、バス男&バス女やライギョマンなどがいる。ライダーやキカイダーに退治してもらわないと、おちおち釣りもできない。
話を空想から現実に戻そう。ブルーギルを釣るのに道具に凝る必要はない。ありあわせのもので間に合う。安物の方が「竿が折れる恐怖」が味わえて、かえって面白くなる。餌も選ばなくていい。ミミズや虫類ならば確実に釣れる。友人にはガムで釣った者もいる。ブルーギルは貪欲な魚だ。食べ物の匂いを感知したら、後先を考えずに喰らいついてくる。途中で馬鹿らしくなるかも知れないが、初心者が釣りの楽しさに手っ取り早く触れたければ、ブルーギルは格好の目標と言えるのではあるまいか。
手元の指南書には「1960年に伊東の一碧湖に放流された」と、書いてある。放流から54年が経過しているわけだが、今やブルーギルの勢力範囲は全国に及んでいる。湖沼の漁師さんから見れば、貪欲な性質を持つブルーギルは色んな悪さを働く〔害魚〕ということになるらしい。元々食用として輸入されたものだし、釣った場合は、やはり食べるべきか?得体の知れぬ鶏肉を食べるぐらいなら、ギル肉の方が安全なような気もする。指南書には「天麩羅や南蛮漬けにすると美味しい」と、あるが、実行できるかどうか…。ブルーギルを食べるという感覚(習慣)が俺にはないし、敢えて試してみたいとは思わない。残念ながら、食欲も湧かない。