『平清盛』は2012年1月から12月にかけて放送された番組である。NHK大河ドラマ、51番目の作品となる。

DVD第1巻には、第1回『ふたりの父』第2回『無頼の高平太』第3回『源平の御曹司』の計三篇が収録されていた。俺はこの番組の予備知識をほとんど持っていない。

ただ、視聴率が伸び悩んだという話は聞いていた。この視聴率というやつが曲者なのである。観ている分には無害だが、作り手側はこの化け物に右往左往を強いられるらしい。部外者から見ると馬鹿馬鹿しいような気もするが、当事者は大変なのである。大河ドラマともなると、投入される制作費も莫大だから「そんなの知るか」と、開き直るわけにもいかないのだろう。高いから面白いとは限らないし、低いからツマラナイとも限らない。調査をしている人には悪いが、むしろ邪魔である。番組の評価ぐらいは自分の感覚を優先したいものだ。

『平清盛』はかなり早い時期にDVD化されていたが、実際に鑑賞したのはつい先日である。借り賃が下がるのを待っていたからである。


松山ケンイチが清盛役に起用されている。最近の若い俳優さんは、独自の魅力に欠けるところがあるものの、演技力、表現力に長けている。風貌も体型もカッコいいしね。松ケンが俳優としてどこまで進化するかはわからないが、この段階で、平清盛という歴史上の大物に挑むことは、役者人生のプラスになるに違いない。

少年期から青年期あたりまでは大丈夫だろう。鮮烈な清盛像を作り上げてくれる筈だ。心配なのは〔その後の清盛〕である。まだ若い彼が、中年期と老年期をどのように演じているのかに着目している。


今さら記すまでもないのだが、大河ドラマは〔再現映像〕ではない。時代考証も大切だが、史実にこだわり過ぎるのもどうかと思う。俺自身は日本史を題材にした虚構(劇)だと捉えている。あれが違うこれが違うと、重箱の隅を突付き回るのも、それはそれで楽しみ方のひとつなのだろうが―余程に酷い場合は別として―俺の趣味には合わない。そもそも、現在の人間が過去の人間に扮すること自体が虚構(嘘)なのだ。型破り歓迎。批判を恐れず、もっと自由に、もっと大胆にやって欲しい。


〔清盛が生きた時代〕に説得力や実在感を持たせる要素として、建築や衣装、各種小道具が抜群の効果を発揮していた。考証的に忠実なのかどうかはさておき、観ている者を納得させるに足る厚みや重み(リアリティ)を感じた。画面の中に構築された世界に確かな生命が宿っていた。作り手の意気込みは相当なものだし、ここまで立派な舞台を用意してもらったら、出演者の演技意欲も俄然燃え上がるだろう。

日本の時代劇はとっくに滅び去ったと思い込んでいたのだが、どうやら、誤解だったらしい。構図や撮り方に関しては、マンガっぽい印象を受けないでもないが、まあ、許容の範囲におさまっている。全50回の長い旅になる。慌てず急がず、ぼちぼち楽しみたいと考えている。