第2回には〔デーモンの歴史書〕が登場する。不動明と読者を〔悪魔の世界〕へといざなう素敵な小道具である。こういうものがスラスラと描けるということが、作者の好調を証明している。歴史書の外観は〔本〕ではなく〔像〕である。中が空洞になっており、像をかぶった者の脳内に直接映像を送り込む仕掛けである。使用者はまるでその場に居合わせたような臨場感が体験できるというわけ。凄い発明だ。

人類叡智を結集したとしても、これだけのものを作るのは難しいのではあるまいか。デーモンの陣営には極めて優秀な技術者がいるらしい。そして、彼らが、決してバカではないことが、これを見ればわかる。肉体そのものを武器化している上に、高度な頭脳も有しているのだ。先住者デーモンは〔知恵を持つ怪物〕なのである。その意味では、ゴジラやウルトラ怪獣よりも、数十倍、いや、数百倍も厄介な相手である。恐るべき敵であり、蘇った魔族は人間界侵攻を画策している。飛鳥少年が戦慄したのも無理はない。発狂しなかっただけでも、大したものだ。


了の言葉を信じるならば、歴史書の発見場所はマヤ遺跡近辺の密林らしい。一部のデーモンはマヤ文明と接触していたのだろうか?これなんかも、外伝の素材になりそうだ。誰か描いてくれないかな。

魔像の発見者は了の親父―飛鳥教授である。こんなものを拾ったばっかりに、息子の運命は狂いに狂い、教授自身も非業の最期を遂げた。そのままにしておけば、破滅の歯車が作動することもなかったし、不動明が〔人間でなくなる〕こともなかった。

魔像には、周囲の人間を不幸のどん底に突き落とすとんでもない機能も付属しているようだ。まあ、拾ったものを調べたがるのは学者さんの習性かも知れないが…。飛鳥教授が現地でかぶったのか、それとも、自邸の研究室でかぶったのか、大いに気になるところである。