ブログネタ:怖いもの
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今日は〔まんがの日〕だそうだから、子供の時に衝撃を受けたまんがの話でもしようか…。永井豪の『デビルマン』である。自他共に認める豪ちゃんの代表作だ。
雑誌連載の開始は1972年の5月。動画版の放送は同年7月にスタートしている。悪魔+人間=デビルマン。早いもので、萬画史上に名を刻む異色ヒーローが誕生してから、40年以上の時間が経過している。
主人公の名前は同じだが、萬画と動画とでは、内容的な隔たりが大きく、別個の作品として捉えた方が良さそうである。前者の不動明が、悪魔(デーモン)の体をのっとったのに対して、後者の不動明は悪魔に体をのっとられている。憑依の瞬間、人間不動明の精神は何処かへ消し飛んだらしい。あるいは、悪魔の意識内に吸収されてしまったか。どちらにしても、悲惨である。人間明は身も心も悪魔に捧げた(捧げさせられた)形で、物語の舞台からの退場を命じられるのである。
人間界に潜り込んだデビルマンは、居候先の娘ミキに一目惚れ(!)し、魔族の尖兵ではなく、人類の味方として行動する事になる。デビルマンにとっての〔人類〕とは、牧村ミキのみを指し、その周辺には余り関心がなさそうなのが面白い。その意味でも異色。デビルマンは人類ではなく〔ミキを守るために〕日夜戦い続けるのだ。
原作の不動明に課せられた運命も極めて過酷である。大抵の者なら、絶望的使命に耐え切れず、心が押し潰されるか、発狂に追い込まれてしまうだろう。強靭な精神力の持ち主としか言い様がないし、その類稀な資質こそが〔浸入してきた悪魔の肉体を奪取する〕という仰天の離れ業を可能にしたのだ。
明が合体した悪魔は〔地獄の野獣〕と畏怖される勇者アモンであった。デーモンは〔あらゆる動植物の融合体〕という設定だが、アモンのデザインは意外にシンプルである。序盤は闘争や殺戮を楽しんでいるところがあったが、中盤以降は、不動明の苦悩や葛藤が反映されたかのような険しい顔つきになる。
妖鳥シレーヌに続いて送り込まれてきた刺客が、曲者ジンメンである。この亀型悪魔は〔食べた人間の顔を甲羅に浮かび上がらせる〕というとんでもない能力を有しており、対デビルマン用として、特別に開発された(?)としか思えない難敵である。
ジンメンは醜悪な外観をしているが、頭は結構良いらしく、話術も堪能である。刺青や宗教にも言及しているところを見ると、なかなかの研究家でもあるらしい。
人面甲羅をタテにした威嚇と恫喝の連続に、さしものデビルマンも劣勢を強いられるが、最終的には、自慢の甲羅をベリベリと剥がして、勝利をおさめている。
このベリベリに至るまでの心理描写が凄いのである。落ち込んでいる時に読んだりすると、気が狂いそうになる。
恐怖の種類は様々だが、究極の恐怖は〔捕食される恐怖〕ではあるまいか。食う側から食われる側に回される怖さに勝る怖さはあるまい。デーモンは人類の天敵であり、彼らにとって、人間界は〔食材の宝庫〕なのである。
「俺は食べたけど、殺してはいない」とは、ジンメン独特の論理だが、現実界にも、こういう詭弁を平然と弄する連中が存在するのはどうした事なのか。本人も気づかない内に悪魔にのっとられているんじゃないか?隣りの悪魔さんというわけ。怖い怖い。不動明と親しかったサッちゃんも、犠牲者の一人である。化物は人質代表として、少女を狡猾に利用している。デーモンはただでは殺してくれないのである。こんなに恐ろしい奴らは滅多にいないし、こんなに怖いまんがも他に知らない。