『皇帝のいない八月』と同年に公開されたUFO映画『ブルークリスマス』(脚本:倉本聰/監督:岡本喜八)にも、廃人化手術が施された(らしい)描写が存在する。
こちらの犠牲者は岡田英次扮する兵藤博士である。博士は恐らく「円盤騒動の核心」を掴んだのだろう。世間に発表される前に「喋れなくしてしまえ」というわけである。廃人化はある意味「殺し」よりも残酷である。誰がそのような命令を下し、誰がそれを実行したのか?真相は不明のままであり【怪物の本体】は、決して姿を現そうとはしないのだった。拉致された後の体験や運命に関しては、ほとんど何もわからない。我々の前に差し出されるのは「驚愕の結果」のみである。
この種の映画の場合、経緯描写の省略は的確なやり方だと思うし、衝撃度を高めるという点でも極めて効果的である。観客に想像の余地を与える事で、映画に膨らみや奥行きが生まれてくる。説明過多の映画は大抵ツマラナイ。
あれはこうだった、これはああだったと、懇切丁寧に解説されてしまうと、観ている方はかえって興醒めする。かと言って、あんまり寡黙過ぎるのも困るし、その辺りの匙加減には、細心の配慮が求められる。
『皇帝』(松竹)は9月に『ブルー』(東宝)は11月に封切られている。偶然なのか、必然なのか。1978年は国産ポリティカル・フィクションの豊作年だったのだ!尚、岡田は前者と後者の両方に出演するという快挙をなし遂げている。他にも、神山繁、高橋悦史、大滝秀治、小沢栄太郎など、皇帝組の参戦が意外に多い。
存在感と説得力。巨篇映画には欠かせない重厚メンバーだし、贔屓役者の登場は大いに歓迎だが、ニッポンの選手層の薄さを感じないでもない。