DVD第3巻には、第6話『発射!光子力ビーム!!』第7話『伝説!バードス島の機械獣!』第8話『誕生!あしゅら男爵!』の、計三エピソードが収録されていた。
主人公が誰だかわからないところが今川動画の魅力のひとつだが、老舗旅館くろがね屋の女将―錦織つばさが、異様なアクの強さを発揮して、兜甲児の王座をおびやかしている。客演(特別出演)の域を跳び越して、主役に迫る勢いである。回を重ねる毎に存在感がどんどん膨らんでくるのだ。
つばさのルーツを調べてみると、はるか『ガクエン退屈男』にまで遡る。つばさは『凄ノ王伝説』や『バイオレンスジャック』にも出演しており、永井ファンとしては、お馴染みのキャラクターの一人である。しかし、マジンガーワールドとの接点はなかった。今回、今川監督は彼女を物語の鍵を握る重要人物に抜擢。数々の見せ場を与え、大いに暴れさせている。兜十蔵やDr.ヘルとも面識があり、機械獣の発掘や古代ミケーネ人(男女)の蘇生手術→あしゅら男爵の誕生にも参加している。
腐部を削ぎ落とした「男体」と「女体」を、一体に繋ぎ合わせるとは、バイオレンスならぬブラックジャック並の神業である。その際、あしゅらの体に『安全装置』まで施したというのだから、まったく油断ならない。優秀な知能と氷のような怜悧さを併せ持つしたたかな女である。怪物であり、堅物甲児に太刀打ちできる相手ではない。
邪悪の総帥―Dr.ヘルが真に警戒しているのは、小僧(甲児)ではなく、女将(つばさ)ではあるまいか?ヘルの激しい憎悪は、彼女の実力を認めている証しでもある。光勢力と闇勢力が猛烈な闘争を繰り広げる中、つばさは第三勢力の大将として、今後も独自の活躍を展開してくれるだろう。甲児の敵ではなさそうだが、かと言って、完全な味方というわけでもないらしい。その辺りの均整感覚が絶妙である。自宅が崩壊した兜兄弟―甲児とシローの居候先が、さやかのいる光子力研究所ではなく、つばさ一党が営むくろがね屋というのも面白い。
生前、十蔵はこの温泉宿に足繁く通っており、遺品も多く遺されている。生体科学とロボット工学―日本屈指の天才頭脳が、どのような会話を交わしていたのかが物凄く気になるが、内容に関しては、回を追いながら、徐々に明らかにされる筈である。第1話『大団円』で、つばさが兄弟の父親(でしょう)に匕首を向ける場面が出てきたが、理由が判明する頃には、物語は佳境に差しかかっているに違いない。