『真マジンガー 衝撃!Z編』は2009年4月から、同年9月にかけて放送された作品である。原作永井豪、監督今川泰宏―大顔合わせが実現した奇跡の動画。
動画にしろ、映画にしろ、観てもいない作品に過剰な期待を抱くのは禁物だし、なるべく控えてはいるのだが『真マジンガー』に限っては「するな」という方が無茶だ。独特の色気と激しいバイオレンス。破天荒な永井ワールドを、鬼才今川がどのように料理しているのか、猛烈な興味を覚えたのだった。
幸運な事に、俺は第1回のテレビ放送をリアルタイムで観ている。副題は『大団円』になっており、監督得意の奇襲作戦が早くも始まっている感じがして、ニヤリとさせられたものだ。高水準の作画能力に度肝を抜かれるのと同時に、詰め込まれている情報量が余りにも多過ぎて、何が起きているのか、把握するだけで精一杯の有様であった。他作品のキャラクターも適所に登場して、画面を大いに盛り上げてくれる。恐らく「永井萬画の総決算」も、監督の狙いのひとつなのだろう。加えて「原子力に変わる新エネルギー」を、どういう形で描いているのかにも、注目している。
今川監督は温泉街熱海を『真マジンガー』の主舞台に定めた。地方活劇の面白さも組み込もうという貪欲な設定であり、ドクターヘル配下の機械獣軍団が押し寄せる理由にもなっている。宿敵兜一族が住んでいる町であり、光子力使用の試験都市に選ばれた地域でもあるからだ。光子力の実用化は「原子力に頼らない世界」の構築に繋がる。平和利用を目指す研究者グループと、野心旺盛、軍団強化を目論むドクターヘルの抗争は、テクノロジーの二面性が勃発させた戦いとも言える。
人間は「諸刃の剣」に引き寄せられる性質があるらしい。我が身を滅ぼす危険性を孕んでいるにも関わらず、自分に都合の良い部分だけを得ようとする。何とも図々しい話だが、決してやめようとはしない。これまでは、強引にねじ伏せてきたが、そろそろ破局が近い。棚上げにしていた諸問題が次々に崩れ落ちてきているのはその兆しであろうか。この途轍もない額の請求を払い切れるのか。抜き差しならぬ状況に追い込まれた人類は、一体どのような末路を迎えるのだろうか?俺などには想像もつかないが、ドクターヘルの凄惨な最期が、それを暗示している気もする。