『デュエリスト―決闘者―』(1977年公開)は、リドリー・スコットが初めて手掛けた長篇映画である。血沸き肉躍る西洋剣戟の世界を堪能しようと思っていたのだが、物語的には意外に単調であった。映像面や美術面には魅力を感じたが―常々主張しているように―話が面白くないと、集中力が持たないのである。この映画も途中から猛烈な眠気に襲われ、終幕まで辿り着くのが大変であった。

出演者も個性派が揃っており、重厚な演技を繰り広げているのだが、眠くて眠くて堪らないのである。断片的に記憶が飛んでいるのは、恐らく、数秒単位でまどろみの国に落ちてしまった為らしい。


今回借りたDVDは特典機能が充実しており、リドリー・スコット自身が登場するオーディオ・コメンタリー(音声解説)も収録されていた。当事者が語っているだけに説得性に富んでいる。映画を撮りたいと考えている人には是非聴いてもらいたい内容である。俺はオーディオ・コメンタリーそのものが大好きなので、作品や分野に関係なく、収録されている場合は、時間の許す限り聴くようにしている。

制作費の調達話や気難しい役者の説得方法など、撮影現場の苦労や俳優さんの素顔に触れられる貴重な機会だし、感想文を綴る際にもとても役に立つ。

本篇より解説の方が面白い…というのは、奇妙な逆転だが、長年映画を観ていると、だんだん「裏」に迫りたくなるものだ。音声解説はその欲求を叶えてくれる画期的機能だと思う。もし池波先生が御存命なら、積極的に活用されていた筈である。


『デュエリスト』を観ていて、映像構築のやり方が「キューブリックっぽいな」と思っていたら、音声解説の中で、リドリー・スコットが『バリー・リンドン』(1975年)の影響を明言していた。あの映画も途轍もなく眠たい作品だったが、素人や半可通にはわからない仕掛けがほぼ全篇に施してあるそうな。我らがタイラント―黒澤明も高く評価していたし、その意味では「真の玄人向け映画」と言えるだろう。