俺の身辺にも、不景気の影響が本格的に及んできたようである。先日届いた一通の手紙が、俺の顔色を急変させた。鏡に映している訳でもないのに「自分の顔色」がわかるのは不思議だが、緊張状態に追い込まれると、人間の感覚は刃のように研ぎ澄まされるのだ。例え、俺のような鈍重な人間であってでもである。着信が早かったのが、せめてもの幸いであった。このような内容の書類を「執行直前」に渡されてはたまらない。爆弾の破裂まで、まだ多少の猶予がある。この時間を使って、適切な対策を練らなければならない。
知人友人に泣きつく事だけは避けたいが、動向次第では、そのような展開も有り得るかも知れない。その光景を想像すると、今から憂鬱になる。俺はただ平穏無事な生活を願っている人間である。だが、野蛮人には、それすらも許されないのか。あるいは、それは、現代日本における最大の贅沢品なのか…。
今月から来月にかけて、話し合いの機会があるそうだから、具体的な行動を決めるのはその後になる。とりあえず、現在の俺が出来る事から始めたい。第一は「支出の抑制」である。節電や節水は無論だが、事態が収束するまで酒は呑まない。久々の禁酒である。但し、食事に関しては、現状を維持したい。休日の外出も当面控える。どうしても断れない場合を除いて、遊びや酒席のお誘いにも応じられなくなるだろう。しんどい期間に突入するが、生き延びる為だから仕方がない。
「最近、あいつはつき合いが悪くなったな…」と、憤慨される方も今後現れるでしょうが、そういう事情ですので、どうか、御理解と御容赦をお願いします。m(_ _ )m