第26話『ひとり旅』は座頭市の帰郷を題材にしたエピソードである。市さんの旅はまだまだ続くのだが、一応、最終回としての体裁は整えられている。中村雁治郎、竹脇無我、由美かおる…フィナーレを飾るに相応しい豪華メンバーが集結。我らがジーパン耕助―中尾彬も参戦しており、いつ殺されてもおかしくないのに、最後まで殺されないという強運児(悪運児?)を演じている。
雁治郎(玉緒のお父さん)は座頭市が慕う和尚に扮している。さしもの市さんもこの人だけには頭が上がらない。なかなか面白い配役である。市をカタギの世界に戻そうと、色々苦心するが、結局、和尚の努力が報われる事はなかった。
無我は座頭市の首を狙う賞金稼ぎである。一匹狼のヤクザだが、サムライにも通じる度量力量を有している。この男、第3話に登場した風来坊(北大路欣也)の進化形かも知れない。市との対決の前に「金も欲しいが、命も惜しい」などと、本音を吐露する辺りにも、強烈な個性を感じる。ライバルとしての資格は充分に備えていると言えるだろう。濃厚な存在感を持つ敵役が俺は大好きである。
劇中、最も印象的だったのは、和尚が土中に埋めた仕込み杖が、奇跡の如く復活する場面である。現実には起こり得ない神秘的な現象であり、神話めいた光景であった。娯楽が神話になってしまったのだ。そして、それは、血腥い生活から抜けたくても抜けられない、座頭市の人生そのものを象徴しているかのようであった。