第21話『湖に咲いたこぼれ花』は林与一登場篇である。酷い奴である。手当たり次第に女を騙しては、売春組織に売り飛ばす。自分の行動に対して、疑問も抱かなければ、罪悪感も感じない。生来の悪党である。生い立ちに関しては、同情の余地があるものの、だからと言って、何をやっても良い理由にはならない。

唐突な質問で恐縮ですが…皆さんは「色悪と色敵の違い」がわかりますか?

俺にはわかりません。わからないので、手元の広辞苑で調べてみました。

色悪とは「悪役でありながら外見は二枚目の役柄」であり、色敵とは「敵役の一種だが、色気のある役柄。色悪のように色男でなくともよい」と、説明されていた。


池波先生の指南書にも書かれていたように、一口に「悪役」と言っても、様々なタイプがある。林さんが扮したキャラクターは「色悪」に分類されるのだろう。詐術師の二面性を巧みに演じていたが、座頭市に対抗するほどの凄味や知能は備えていなかった。この程度の悪人なら「斬る事もないのではないか」とさえ思った。

観る者の同情を誘うようでは、悪役(敵役)として失敗だし、悪の失敗は、活劇の完成度に密接に関係してくる。楽しい会話や面白い場面も少なくないが、肝心の部分が弱いから、緊張感や緊迫性に欠ける仕上がりになってしまった。

まあ、長いシリーズ、時には、凡退もあります。全打席本塁打は考えられないし、有り得ない。多少の凸凹はシリーズの特徴でもある。

同じ色事師なら『必殺仕置人』に登場した津川雅彦の方が数段強烈である。当時の津川さんは「悪の表現」に意欲を燃やしていた。狙われても「ただでは死なねえぞ」というしぶとさが素晴らしい。強敵の存在が、主役の魅力を引き立てるのだ。