『冒険者カミカゼ』(1981年)は、千葉ちゃん曰く「ローベル・アンリコ監督の『冒険者たち』が大好きなんで作った映画」(☆)だそうである。本家の公開は1967年。

東映映画の枠内でフランス映画の名篇を再構築しようという大胆作だ。映画の存在は前から知っていたが、遭遇の機会が得られず、今の年齢に達してしまった。駆動中の『狙い撃ち作戦』の標的のひとつに選んだのも当然の成り行きであった。

魔弓の射程は結構広い。吃驚するぐらい簡単に待望の映画を捉える事が出来た。DVDを再生機に挿入した時にはドキドキしたものである。ここまで来ると、映画の出来なんて別の次元に思えてくる。観る事自体が目的と化しているのだ。面白くても、面白くなくても、どちらでも良いような奇妙な気分を味わった。


「男二人と女一人」という組み合わせは空想世界に向いているらしい。若造と中年、普通なら前者を選ぶのだろうが、後者にも期待を持たせる所が、映画の夢である。

千葉ちゃんがリノ・ヴァンチェラ、真田広之がアラン・ドロン、秋吉久美子がジョアンナ・シムカスの役割を演じている。本来なら、秋吉の役は悦ちゃんが演じるべきだった気がする。配役が決まるまでの経緯はわからないが「JAC臭」を緩和しようという意思が働いているのかも知れない。三人組を追いかける暴力組織の首領は、ベテランの岡田英次が扮演している。岡田さんも色んな映画に出てるなあ。


演技力も映像力も本家には太刀打ち出来ないが「運動神経だけは負けないぞ」という気迫が伝わってくる。正統映画ファンの顰蹙を誘うような珍場面や失笑場面の連続も、俺には心地好く感じられた。感じられたが、荒唐無稽の千葉ワールドに拒絶反応を示す人もいるだろう。まあ、それはそれで仕方がない。万人に絶賛激賞される映画など、この世に在りはしないのだから。ただ、さしもの俺も「ラスト15分は要らないのではないか」と、思った。仮に切ったとしても、映画は充分成立する。あの15分は「夢を終わらせたくない」千葉ちゃんの未練であろうか。二度観て、二度とも不要だと思った。その未練も「夢の一部」と、言えない事もないんだけどね。


☆洋泉社「映画秘宝・第16号/HIHO VIP INTERVIEW3連発」より抜粋。