「角の頭は丸い」と言われるように、角行は前に進めない駒である。

故に角頭は、敵側の攻撃目標として常に狙われる運命にあるのだ。

自陣の弱点とされている角頭の歩を自ら突き出す作戦が存在する。

泥沼流―米長邦雄先生考案の『角頭歩突き戦法』である。

米長先生らしい大胆な発想だ。先生は本戦法を実戦に採用している。

奇策奇襲を好むプレイヤーには是非試してもらいたい戦法である。

先手用の作戦なので、後手の場合は使えない事を断っておく。

初手はセオリー通りに「▲7六歩」である。

後手の応手が重要になる。例えば「△8四歩」とかだとダメである。

後手が「△3四歩」と角行の砲口を開いてきたらチャンスである。

第三手「▲8六歩」が、敵方を魔界へと誘い込む妖手となる。

想定外の逸脱手を浴びせられた後手の反応が見物である。

「バカにするな」と、猛然と襲いかかってくるか、

「何かあるぞ…」と、警戒して、冷静に守備を固めてくるか、

どのように斬り返されても結構戦えるのが面白い。

傍にある『森田将棋DS』を使って、後手の出方を見てみよう。


■入門レベル―△6二銀

■思考レベル1―△6二銀

■思考レベル2―△8八角成

■思考レベル3―△8八角成

■思考レベル4―△8八角成

■思考レベル5―△6二銀


人間なら「△8四歩」と、飛車先の歩を伸ばしてくるところだが、そうしないのがコンピューター。機械に挑発は通用しない。変な手も指すが、詰め将棋は大得意だ。

地雷を仕掛けた側としては角交換―△8八角成は歓迎である。

沈着に「△6二銀」と応じられると困ってしまうかも知れない。

奇襲作戦の主眼は「訳のわからない戦況」を作り出す事にある。

乱戦模様、或いは、力戦模様に持ち込んで、敵を幻惑するのだ。

実力差が拮抗している場合、特に効果的である。

但し、奇襲戦法はリスクも大きい。失敗すると悲惨である。

相手が強いと「恥をかいてオシマイ」という事も充分有り得る。

その際は潔く投了しよう。蛇の生殺しは精神衛生に良くない。

この後の展開については、また別の機会に書きたいと思う。