先月。平井和正のSF短篇集『悪夢のかたち』(角川文庫)を読んだ。
例の如く神保町で買った本である。購入金額は210円。
文庫の奥付けには「昭和五十年十月二十五日 初版発行」と、ある。
36年前の本である。紙の劣化が相当進んでいるが、判読は可能である。
表紙の保存状態は良い。生頼画伯の作品はいつ見ても迫力満点である。
①『レオノーラ』
②『ロボットは泣かない』
③『革命のとき』
④『虎は目覚める』
⑤『百万の冬百万の夢』
⑥『悪夢のかたち』
⑦『殺人地帯』
⑧『死を蒔く女』
⑨『人狩り』
表題作を含む計9篇が収録されている。
俺が一番面白いと感じたのは『百万の冬百万の夢』である。
主人公は「冬が異常に嫌いな男」である。
読み始めた時は「なんてツマラナイ小説だろう」と、思った。
平井先生でも「こんな凡作を書くのかな」とさえ、思った。
子供みたいな愚痴を延々繰り返す主人公に不快感を覚えたのだ。
だが、そのイライラは作者が仕掛けた巧妙な布石だったのである。
後半、布石が『強烈な爆弾』と化して機能するのだ。仰天の急展開。
主人公の奇妙な態度には、重大な意味が隠されていたのである。
先生の設置した地雷を、俺はまんまと踏んでしまったわけである。
まさか「時間遡行もの」とはね。題名を見た時点で気づくべきだったが、迂闊であった。読み進めている内に、俺の頭の中に「あるマンガの名場面」が想起した。両作品に関連性があるのかどうかはわからない。何かの折に調べてみる心算である。