昨夜。池袋の新文芸坐で『スーパーエイト』(本年公開)を観た。

記すまでもないが…原題は『SUPER8』である。

最終日の最終上映にギリギリ間に合った。いずれはDVDになるだろうし、そんなに慌てなくても良いかなとも思ったが、出来れば劇場で捉まえたかったのである。

先月催された原田芳雄の追悼特集の中でこの映画の予告篇が何度もかかった。

スピルバーグ印のジャリ向け映画みたいだが、妙に心を惹かれるものがあった。

俺が映画に求めているのは、スーパーエイトならぬスーパーエロスであり、ウルトラバイオレンスである。

だが、時には、正反対の世界に飛び込んでみたくなる場合もあるのだ。

エロスやバイオレンスも面白いが、立て続けに観ると流石に厭きてくる。

どんなに肉が好きでも、毎日食べているとイヤになってくるのに少し似ている。


奇作『クローバーフィールド』のエイブラムスが脚本と監督を担当している。

怪物の描写に関しては、エイブラムスの資質が生きているように思われた。

姿が見えそうで見えないのがもどかしいが、そのもどかしさが良いのだ。

映画の舞台が大都会ではなく、寂れた感じの田舎町というのも好ましい。

70年代後半の雰囲気を再現しようという試みも大いに歓迎したい。

主人公の少年は仲間と共にゾンビ映画の制作に熱中している。

何かに没頭する事で、母親の死を忘れようとしているようにも思える。

その対象がどうしてゾンビ映画なのか?一般人には理解し辛い感覚だろう。

堅物の父親は息子の将来を心配している。

ゾンビ映画を何本撮ったところで、受験や就職の役には立たない。

ゾンビの世界から引き離そうと懸命だが、親の気持ちは子には中々伝わらない。

息子は映画の他に「もうひとつの分野」に夢中になっている。

息子はある娘と恋に落ちたのである。素行は少々荒っぽいが、美形である。

本来なら喜ぶべき展開なのだが、相手の父親は大変な呑んだくれ。町の厄介者として嫌われており―間接的とは言え―妻の死にも絡んでいる。

ロミオ&ジュリエットごっこも結構だが、楽しいのは当人たちだけである。

父親の苦悩は尽きないのだった。追い討ちをかけるが如く、大規模な列車事故が起きる。以後、超常現象が頻発し、軍隊が跋扈し始める。町は震撼鳴動する。

男は保安官代理を任されている。中でも外でも問題は山積みなのである。

お前らいい加減にしろと、息子と相手をぶん殴りたくもなるが、それはしない。紳士だからである。暴力で捻じ伏せても、抜本的解決にはならないからである。

拳骨や威嚇は反発に繋がる。理性と論理が肝要だ。我が子ならば、尚更である。

そのような訳で、父親の視点から、この映画を眺めてみるのも、悪くないと思うよ。