先日。DVDで『さらば友よ』(1968年公開)を観た。
原題は『ADIEU L'AMI』。
アラン・ドロン&チャールズ・ブロンソン共演の犯罪映画。手元の資料には「ブロンソンをスターダムに押し上げた好編」と、ある。
確かにドロンよりもブロンソンの方が見せ場が多いような気もする。
ブロンソンはある特技を持っており、随所で効果的に使われている。
グラスになみなみと注がれた酒の中に5枚のコインを落とし込むという特技である。落とし込むだけなら誰にでも出来る。ブロンソンは注がれた酒を一滴も溢れさせずにそれをやりのけるのである。
達成時に迸る歓喜の「イェー」も印象的だ。つい真似したくなる。
男同士の友情を描くのが、本作品の主題のひとつになっている。あくまでも大人の友情であり、気味の悪いオトモダチごっことは質が異なる。
俺自身は「友情」という言葉に若干の胡散臭さを感じる人間だが、この映画は純粋に楽しめた。
最初は喧嘩ばっかりしていたドロンとブロンソンが、共同の目的を得た瞬間にピタリとまとまる。地下金庫を脱け出した二人が、カフェか何かで誓いの酒盃を交わす辺りは、屈指の名場面になっている。
両者の思惑に関しては、わかり辛い部分があるように思う。
説明過剰、台詞の洪水のような映画に慣れ切った者には、不親切に感じるかも知れない。不親切な分、観る側が頭を働かせる余地があるという事である。たまには動かさないと、脳味噌が錆びついてしまうぜ。こういう機会に回転させておこう。
物語の後半に登場するベルナール・フレッソンも厚味のある演技を披露してくれる。アクの強い個性を発揮して、二大スターと互角の勝負を繰り広げる。第三の男の存在感が映画を更に面白くしている。
役者が揃っているし、美術的にも映像的にも音楽的にも魅力が横溢している。全ての歯車が噛み合った時、映画は不朽の輝きを放ち始める。
この映画が観たいなと思ったキッカケは、掲示板上の会話であった。
もう何年も前の話である。ネット世界に浸り出した頃―未知の領域に踏み込んだ時のドキドキ感は今でも鮮明に覚えている―の話である。
その情報を与えてくれた人とは、残念ながら、音信が途絶えている。最近はどうしてますかね。
恐らく『彼』は俺などの届かない遥か先に進んでしまっているのだろう。
やさぐれ者にかまっていられる時間はないのである。
一度酒でも呑みながら、好きな映画の話でもしたかった。だが、その望みが叶う事は多分ないと思う。さらば、友よ―さらば、オザキ君。