『必殺仕置人』は『必殺』シリーズ第2弾として制作&放送された作品である。

本放送は1973年4月~10月。全26話。

前作『仕掛人』(1972年~73年放送)のような原作者は存在しない。

『必殺』はこの辺りから、オリジナル路線を走り出したのだ。

「原作・池波正太郎」という大看板が外れた事が、独自の進化を遂げるキッカケになったのだ。池波先生の逆鱗に触れた事が、プラスに働いたのである。

世の中、何が幸いするかわからない。


◎念仏の鉄―山崎努(黒澤系)

◎棺桶の錠―沖雅也(日活系)

◎鉄砲玉のおきん―野川由美子(フリー系)

◎おひろめの半次―津坂匡章(初期『必殺』の常連) ※現・秋野太作

◎中村主水―藤田まこと(喜劇系)


レギュラー陣の配役も豪華である。映画級のメンバーが揃えられている。

1970年代は、映画の才能がテレビ界に本格参戦してきた時代でもあった。

それは「映画だけでは食べられなくなってきた」事を意味する。

映画産業の衰退が、黄金時代の構築に繋がったという見方も可能である。

「悪の力で悪に対抗する」という設定が抜群に面白い。

現代にも通用する斬新さだ。

必殺チームの面々は「一歩間違えれば、斬首刑」という宿命を背負わされており、独特の緊張感を生み出す事に成功している。

逃げ道が確保されている体制所属のヒーローとはその点が決定的に異なる。

『仕置人』は中村主水が初めて画面に現れた記念碑的作品でもある。

主水伝説はここから始まったのだ!


中村主水―シリーズを象徴する名キャラクターであるのと同時にテレビ時代劇の歴史書に刻むべき特異なキャラクターでもある。

組織内の矛盾に絶望した警官が、暗殺者として覚醒するという展開は、融通性に富む時代劇だからこそ許される大胆飛躍である。

現代劇でこれをやったら、大変である。途端に説得性を失うだろう。

この頃の主水は主人公ではなく、最重要脇役として機能している。

必殺チームの参謀的役割を担っていた。

勿論、自ら殺しに参加するエピソードもあるのだが、実動部門に関しては、念仏の鉄&棺桶の錠に先を譲っている風である。

その分、主水が前線に出向くと「大物が動く」という感じがして、興奮度が増す。

江戸暗黒街の支配者―天神の小六(高松英郎)と対等に話が出来る男。

出番自体は少なくても、物語の鍵として、絶大な存在感を発揮している。

これを書くと、またぞろ怒られるのだが、脇役時代の主水の方が好きである。

エンドクレジットでは、トップ表示ではなく、所謂「トメ」に配置されている。

それがまた「物語世界を俯瞰している」感じがして、カッコ良いのだ。

俺の「トメ贔屓」は源流を目指すと『必殺』シリーズに辿り着く。

主水活躍篇としては、以下の3作がお薦めである。

特に『楽あれば苦あり親はなし』は、劇画的とも言える奇想天外な殺陣が用意されている。物語的にも充実しており、必見の好エピソードに仕上がっている。


■第1話『命を売ってさらし首』 ☆ゲストスター…大滝秀治/菅貫太郎

■第20話『生木をさかれ生地獄』 ☆ゲストスター…浜田寅彦/西沢利明

■第21話『楽あれば苦あり親はなし』 ☆ゲストスター…伊藤雄之助