まだ風が冷たいある日。
卒業式と書かれた看板が立て掛けてある中学。

校庭で1人の少女が卒業証書の入った筒を握り締め、数人の生徒と向かい合っていた。
「お前らも懲りねぇな。卒業式の日ぐらい大人しく出来ねぇのか?」
「うるせぇ! お前には今までの借りがあるんだよ!」
一人の生徒が言うと一斉に少女へ突っ込んで行く。少女は握っていた筒を笑いながら生徒目掛け、全力で投げる。それを生徒が屈んで避け顔を上げた瞬間、少女が目の前で空中を舞っていた。
「なっ」
次の瞬間、少女の飛び蹴りが決まり、その生徒は空を見上げていた。
あっと言う間にその場に居た生徒全員が一人の少女に潰された。
少女が無造作に髪を掻き上げる。
「あぁ~つまんねぇ。マジ女にはおもしれぇ奴居っかな」
そう言いながら、少女は卒業証書の筒を拾い歩いて行った。


少女の名は『大島優子』




私立馬路須加女学園(マジ女)
入学式

マジ女の体育館で入学式が行われていた。
教師や校長が挨拶をしているが誰一人話を聞いていなかった。真面目な生徒は一人も居らず、睨み合う生徒、怒号を飛ばしている生徒ばかりで体育館は殺伐とした雰囲気だった。
その時、体育館に数人の生徒が入って来た…。
数人の生徒は新一年生を不気味な笑顔で見ながら壇上に上がって行く。

この時、体育館に大島優子の姿は無かった。


「ヤッベェ! 初日から遅刻かよぉ」
優子は寝坊してしまい、今マジ女へ向かっていた。


数十分後、優子はようやくマジ女に着いていた。
マジ女に足を踏み入れ校庭を歩いて行く。
校庭には所々ヤンキーが溜まって居り、校舎の至る所に落書きがされていた。
それを見た優子は気持ちが高ぶっていた。
「ハハッ。こりゃ楽しみだな」
高ぶる気持ちを押さえながら体育館へ足を進めた。

扉を開け体育館の中に入るが、入学式はもう終わっていて誰も居なかった。
「やっぱりか…」
そう言いながらも、体育館の中へ入り並べてあるパイプ椅子に座った。
髪を掻き上げる。

「こっからだ。楽しませろよ、マジ女」

誰も居ない静かな体育館で壇上の校旗を見つめながら呟いた。
優子は微笑み、体育館を後にした。


大島優子の遅刻した数十分の間にマジ女は動き始めていたとは知らずに。


『大島優子 マジ女入学』

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