一部の友人は知っていますが、今年の4月から放送大学で勉強中です。


選択しているのは「物理の世界」「基礎化学」「数学再入門」という3科目。1年間(前後期)勉強する資格を持つ「専科履修生」という区分で入学したので、秋以降、また別の科目をお勉強することができます。



ママは理転中 「サイエンスわかるかな?」


面白いのは「今年から放送大学で勉強を始めたんだ」と話したときの友だちのリアクション。そう言うと、必ず「何を勉強しているの?」と聞かれるから「物理と化学と数学」と答えますよね。それを聞いた友だちのほとんどが異常にびっくりするのです。


私がサイエンス系の仕事をしていると知っている友だちも多いので、ひとしきり驚いた後、「仕事で必要なの?」と聞いてくれる人もいます。でも、たいがいは「よりによって、物理と化学と数学~!?」といった反応。友だちはほぼ100%文系出身なので、「物理と化学と数学」という言葉を聞いただけで「うへ~」となってしまうようです。


自分でも「私が物理と化学と数学~?」と思います。でも、勉強したいと思ったときが始めどき。手始めに、去年の夏頃、大人のための中学数学の参考書(最近、この手の大人向け再学習本が多いのですよね)を買ってきて勉強し始めました。中学1年の数学からなので、本当に簡単な数式から。当然私でも分かるレベルですが(この時点で結構怪しいところもあります…)、やればやるほどハマります。


電車の中で問題を解いていて、下りるべき駅を通り過ぎてしまうこと数回。駅に着いても、ホームのベンチでそのまま問題に取り組み続けたり、早めに目が覚めてしまった朝も参考書に直行。

(やっていることは中学生の数学なんですけどね)


中学生の頃からずーっと数学が嫌いだったはずなのに、どうしてこんなに面白いんだろう?

これなら、物理や化学も面白いかもしれない…。


で、放送大学に入学し、各教科の基礎を勉強してみることにしました。


どの教科も基礎の基礎。中学校レベルからやり直すようなものですが、私には新鮮な発見の連続。単に知識が増えるというより、自分の中にボキャブラリーが増えていくような感覚です。ほんの少しですが、ものの見方、感じ方も変わってきたような。


科学関連の本を読んだり、科学者の話を面白いと思うだけでなく、ベーシックな理系科目の「お勉強」も楽しいんだ!


この発見が、今のところ、一番の収穫かもしれません。

前回の更新からピッタリ1カ月。

「書かなきゃ」という気持ちはあるものの、「書くからにはしっかりしたものを!」という気持ちばかりが先走り、自分に変なプレッシャーをかけすぎた挙げ句に1カ月も経ってしまいました。


が、よく考えれば、この1カ月間に書けることはいっぱいあったなぁ、と反省。「サイエンスをコミュニケートするのだ!」などと気負わずに、もう少しラフに、高頻度で書くようにしたいと思います。


**** で、以下が今回の本題 ****


もう10日以上前になってしまいましたが、6月12日(土)と13日(日)の2日間、京都で行われた「第10回日本抗加齢医学会総会」に行ってきました。<会期は11日(金)~13日(日)でした>



ママは理転中 「サイエンスわかるかな?」-抗加齢医学会総会抄録
※写真は総会の抄録。卵のマスコットは、企業ブースでもらった「ヨード卵光」のお人形。


日本抗加齢医学会には普段からお仕事でお世話になっている先生方がいらっしゃるので、東京で行われるエデュケーショナルセミナーなどに参加させてもらっているのですが、総会は今回が初めて。なんとも刺激的な2日間でした。


一般的には「抗加齢医学」よりも「アンチエイジング医学」と言った方が分かりやすいでしょうか。近年、エイジング(老化)のメカニズムが、細胞、分子レベルでどんどん解明されています。そして、それらが様々な病気の原因になっているということも分かってきました。そういった研究成果(エビデンス)をベースに、「病気の原因である老化そのものをコントロールすることで病気を予防し、健康長寿を目指そう」というのがアンチエイジング医学で、「予防医療」の一つとしても大変注目されています。


加齢と関わる医療分野は非常に幅広いので、学会に参加している人も様々。

内科、外科、皮膚科、眼科、歯科など一通りの臨床医、遺伝子・生化学・病理学などの研究者が参加していたのに加えて、製薬会社・化粧品メーカーなどの企業ブースも活況でした。


そんな中、私が見てまわったのは、主にこんなセッション。

・男性ホルモン研究最前線

・生体リズムと生活習慣病

・脳神経のアンチエイジング

・アンチエイジング医療はどこまで日本国民の健康に貢献できるか

・血管のアンチエイジング

・アンチエイジングを強める運動療法


美容系も興味があったのですが、そちらは主に企業ブースで情報収集。すでにTVCMなどでもよく目にする「アスタキサンチン」は、かなり力が入っていました。(サンプルにもらった美容液を母にあげたところ「かなり効いてる気がする」と)


細かな内容は、また折を見て書きますが、自分にとっても「エイジング」が身近な問題となりつつある今、本格的に老化が始まる前に運動習慣を身につけなければいけないと痛感した2日間でした。


ちなみに、2歳児のママでもある私。この2日間息子をどうしていたかというと…。

お父さんと一緒に京都に来てもらっていました。そして、私が学会に行っている昼間はお父さんと二人で遊んでもらっていました。


1日目(猛暑)は京都市動物園、2日目(大雨)は「こどもみらい館」という児童館。でも、息子的には往復の新幹線(生まれて初めて)が一番楽しかった様子。そして、お父さんはグッタリでした…。


ママは理転中 「サイエンスわかるかな?」-京都市動物園
※動物園で息子が一番喜んだのは、動物ではなく子ども用カート。

大きい動物は全部「こわい」と逃げたそうです。




もう先週になりますが、『貧乏人は医者にかかるな!』(集英社新書)を読了。


ママは理転中 「サイエンスわかるかな?」-貧乏人は医者にかかるな!


ここ数年、某私大医学部の定期刊行物のお仕事をしている関係で、医療関係のトピックがとても気になるのです。


「医師不足が招く医療崩壊」と副題にもある通り、すでに深刻な医師不足に陥っている日本の医療に警鐘を鳴らしている本です。高齢化が進むことで患者は増えるというのに、医師不足は進む一方だという現実。医師不足は、産婦人科、小児科、外科、または地方病院だけに起こりうることではなく、診療科や地域に関係なく起こることは目に見えている。そのとき(意外と遠くない将来)に向けて、何ができるか。この本では海外の事例などを交えて紹介していますが、医療システムとしては日本に勝るものはなく、最終的には「病院にかからなくても健康に生きられるように各人が努力すること」と結んでいます。また、平成14年に制定された健康増進法は来るべき本格的な医師不足に向けた政府による戦略で、健康であるよう務めることと定めているのに、そのための努力(禁煙や食生活、運動習慣の改善)を怠った国民には率先して医療を受ける権利はない。つまり、「健康な人でなければ、優先的に医療を受けられない」とする布石ではないかと。これにはドキリとしました。


この本の中では、医師不足を招いた原因の一つとして、医療行政の問題が大きく取り上げられています。しかし、長年「日本の医師は余っている」と言い続けていた厚労省も、ついに医師不足の現実を認め、2008年から数年かけて医学部の定員を増やすことに決めました。最近では医科大学、医学部を新設する話も出ています。


医学部増員の目安は、1大学10人程度ですが、医学部にとって10人の増員は容易なことではありません。私が仕事をしている私大医学部では、医学部長はじめ教授会が「○○大学は11人増やすと言っているだが、。うちは9人が限界だ」などと侃々諤々。「今までさんざん減らせと言ってきたくせに、足りなくなりそうだから増やせなんて。勝手なことを言ってくれるな!」という感じでした。


傍目には「たかが10人」と思えますが、医学部側にしてみれば重大問題。一人の医大生を医師として世に送り出すには、医学部の6年の後、さらに臨床研修の2年の計8年もかかります。増えた学生分の実験設備やスペースの確保、ポリクリ(病院実習)の配分、それらにかかるコスト(医学部は学費が高いことで有名ですが、一人の医師を育てるにはそれ以上のコストがかかるのだそうです)など、1人や2人増やすのでも簡単ではないのです。


しかし、とりあえず医学生を増やさない限り、医師は増やせません。医師不足は医療を受ける側の問題であるだけでなく、医療を提供する病院側の問題でもあります。数か月前「医療と経営」というテーマで、医療経営に関わる人たちによる座談会のライティングを担当しましたが、その参加者たちも病院経営を悪化させている一番の原因が医師不足だと話していました。


特に大きな病気もせず、都心で暮らしていると、医師不足を実感することはあまりありません。でも、もう少し歳をとって、いざ病院にかかろうとしても医者がいない…。一部ではすでにそんなことが現実になっているのですから、若いうちに、少しでも病気になりにくい生活習慣を身につけるということが大切なのかもしれません。