科学コミュニケーション、科学教育、ライティングなど、仕事に役立ちそうな科目が多くて面白そうです。
さて、どんなワークショップになるでしょうか。
サイエンティストにインタビューする場合、
「どういう経緯で科学の道へ?」
といったことを聞くことがあります。
生物系の人ならば
「田舎育ちで、子どもの頃から昆虫採集が大好きだったので」
物理や工学系の人ならば
「家にある時計やテレビなど何でも分解する子でした」
というように、子ども時代の“原点”ともいうべき時代から話してくれます。
で、そこから時系列に沿って話を進めていくと、
結構な確率でこんなエピソードが出てきます。
「中学(または高校)時代の物理(や化学など)の先生がユニークで、
授業を受ける中でこの分野に進もうと決めた」と。
私が取材してきたのは最高学府の教授クラスばかり。
進学に際しても「東大にするか京大にするか悩んだけど、
家に近いから東大にした」なんていう人びとで、
聞けば、中学・高校も名だたる進学校だったりするのです。
それくらいの学校ともなると、私などには想像もつかないような、
エキサイティングな授業をしているに違いありません。
そんな話を聞く度に
「うちの学校の理系の先生はダメだったなぁ。
サイエンスはこんなに面白いのに、
私たちにはちっともその面白さが伝わらなかったもん」
と、自分が理系科目に興味を持てなかった理由を
先生のせいにしてきました。
でも、ふとしたきっかけで
「果たして、先生のせいでもないよな」と思いました。
私は子どもの頃から、本を読んだり、
文章を書いたりすることが好きでした。
でも、私に本の面白さや文章の書き方を教えてくれた先生が、
中学・高校時代にいたっけ?
大変失礼な話、国語の先生は教科書通りに授業を進めるだけでしたし、
そもそも教科書に載っている文章に興味が沸いたことはありません。
作文だってそれなりのものを書いておけば良くて、
書いた文章に対して指導を受けたこともないと思います。
では、自分はどうしてこの道に進んだんだろう?
そう考えると、
そこには自分で読んだ本(物語)の影響が、
多分にあるような気がします。
少なくとも、学校の授業よりもずっとたくさん。
そういえば、私がサイエンスに興味を持つようになったのも
本(物語)がきっかけでした。
なんとなく人に勧められて読むようになったSFの本。
『火星年代記』『われはロボット』などの古典、
『パラサイトイブ』『リング』などの日本のゴシックホラー系、
SFファンと呼べるほどには読んでいませんが、
SF作品を通じて、科学への興味は増していきました。
そして、『生物と無生物のあいだ』『眠れなくなる宇宙のはなし』など、
サイエンス・ノンフィクションも読むようになりますが
(仕事がらみで読むことも多いのですが)、
ノンフィクションとはいえ、そこにある「サイエンスの物語」が
何よりもワクワクして面白いのです。
だから、もしも10代半ばで、
このような「サイエンスの物語」に出会っていたら…。
もっと早い時期から理系科目に興味を持って
勉強していたかもしれません。
他にも、これから読もうと買ってある本は山ほどあるのですが、
もし、オススメのサイエンス本(フィクションでもノンフィクションでも)
があれば、どんどん教えてください!
ちなみに、今読みかけなのはコチラ↓
宇宙物理学者の佐藤勝彦先生が、
この本を読んでこの道に進んだと話していたので…。
ただし、佐藤先生がこの本を読んだのは中学生のとき!
並の中学生ではありませんね。
またしても、ちょっと前のことでアレですが、
8月7日(土)、「日本SF大会」なるものに行ってきました。
といっても大会自体に参加するためではなく、
その中で行われる市民公開講座
「幹細胞医学が見る夢」を聞くためです。
この講座は慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム
「幹細胞医学のための教育研究拠点」によるもので、
講演に立つ人たちの豪華なこと!
本GCOEの拠点リーダーである
岡野栄之先生(慶應医学部)が幹細胞医学の最前線を、
牛場潤一先生(慶應理工学部生命情報学科)は
BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)の
臨床応用事例について講演。
SFの立場からの講演者は作家の瀬名秀明さん。
ご存じの通り、瀬名さんはご自身も薬学博士ですし、
お父様が病理のお医者さんだそうですから、
SFと科学どちらにとっても「当事者」。
さらに、上記3人の講演後行われたシンポジウムでは、
この3人に作家・批評家の東浩紀さんが加わり、
生命科学の最先端と物語としてのSFについて議論がされたようです。
(というのも、この日は夕方から予定が入っており、
3人の講演を聞いたところでタイムアウト!
泣く泣く帰路についたのです…)
そんな中途半端な聞き方しかできなかったのですが、
3人の講演を聞くだけでも十分に刺激的。
岡野先生は「幹細胞医学とは何か?」や
iPS細胞の実現によって何が変わるか」など、
極めて丁寧に、わかりやすく、かつ面白く、お話してくれました。
実は、この大会の数日前、
あるパーティの席で岡野先生とご一緒した際、
「今週末のSF大会の準備が大変で」
と話していたのがきっかけで、
急きょ行かせてもらうことになったのですが、
「SFは詳しくない」と話していたわりに、
説明をするときにSF作品を例に出すなど、
SFファンも楽しめる発表でした。
それは牛場先生も同じで、
映画の場面などを引用したSF大会らしい発表が印象的でした。
BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)というと、
脳からの直接的な刺激によって
念力のように車椅子を動かすシステムが有名ですが、
牛場先生は、麻痺したカラダを動かすリハビリテーションにBMIを活用。
脳の中枢神経から発する電気信号を捉え、
麻痺して動かなくなった指を動かす。
この行為が運動機能のリハビリになるだけでなく、
活性の鈍った脳機能を回復させることにもつながるといいます。
さらに、幹細胞による再生医療によって神経細胞を再生させれば……。
2人の研究者の話を聞くだけでも、夢は膨らむばかりです。
でも、私的に一番ワクワクしたのは、瀬名秀明さんのお話。
演題は「未来が生命とSFを結ぶ」です。
もしかしたら、研究者として、
最先端科学の話題を話したかったかもしれませんが、
今回はあくまでもSF作家としての視点から
「科学と物語」の中心に話していました。
サイエンスから得たイマジネーションを物語にしたくなった科学者、
物語を紡ぐ際に得たサイエンスのリアルな興奮を伝えたくなった作家。
そんな話がとても刺激的でした。
話の中で瀬名さんが紹介していた自身の本
『サイエンス・イマジネーション』(NTT出版)は
そんな着想から生まれた本で、作家陣も豪華。
ご本人いわく「こんなに面白いのに売れなかった」そうですが、
私は俄然読みたくなりました!
だって、本の推薦文を読むだけでもこんなに…。
<第65回世界SF大会/第46回日本SF大会「Nippon2007」でのシンポジウム「サイエンスとサイエンスフィクションの最前線、そして未来へ!」において、第一線のロボット、人工知能、脳科学者による発表と問いかけが行われた。その発表と問いかけに対し、SF作家が書き下ろし短編小説でこたえる! ロボットはこれからどうなっていくのか。そして人間の未来は……?>(Amazonより)
それにしても、この後のシンポジウムはどれだけ面白かったのか…。
どこかに抄録とか録画画像がないか、探してみようと思います。