7月5日 土曜日 晴れ 暑い 気分0

今日は最悪だった。本当に、この事は今後一生忘れないだろう。そして娘達には不安で寂しい思いをさせてしまった。ごめんなさい。

結論か言うと妻は不倫をしていた。本人は否定しているが、状況が物語っている。家族に嘘をついて、カーテンを閉じた若い独身男性のアパートで長時間2人きりで過ごす。俺の電話もシカト、終わってる、この絶望感と怒りをどうすればいいのだろう。しかもこれが初めてではない。もうこの事は思い出したくない。

本当は明日の大会を控えて練習している長男、次男と、それを見守る妻とチームのメンバー達にアイスを差し入れしたかったのに、クーラーボックスにたくさんアイスを詰め込んで、現地に行くと妻の姿も車もない。電話も不通、チームメンバーの親に聞くと、長男達を連れてきたあと、すぐに出かけたとのこと。事前に妻から聞いていた予定と違う。戸惑ったがアプリで車の動体を確認できた事を思い出し、初めて使う。
示されたのは隣町にあるアパートの駐車場だった。娘達を置いてアパートの駐車場へ向かう。この後の展開はお見込みの通り。今日は疲れた。
今年度は昇任して、新たな事業や、これまでの事業もとことん忙しくて、それも先月末で終わり。やっと家族との時間を取り戻せたと思った矢先だった。妻との関係も良好だと思っていた。

そのアパートの駐車場につくと、俺の姿を不審に思ったのか年配の女性がこっちを見ている。俺は「家族の車が何故かここにあるので確認しに来た」というと、その年配の女性は、この車の運転手である女性をこれまでに何度も目撃したと言った。特徴を聞いて、俺のスマホ内にある妻の写真を見せると、間違いないと言う。もしかしたら人違いであってほしいって思った俺の願望は一種で崩れる。この方はこの駐車場と近くにあるアパートの大家さんだった。この方の話によると、これまでにも週末に何度か訪れてきて、若い男と一緒にアパートに行っているそうだ。またその男女の関係はわからないが仲が良さそうな様子だったと、追い討ちをかけるような情報も得る。驚いてばかりだが、さっそくそのアパートへ案内してもらう。50mほどの距離だ、道中に俺の手が汗ばみ、震えていることに気付く、呼吸も落ち着かない。
アパートは2階建てで、中央に階段がありその左右に部屋が1ずつ、計4世帯が入る建物で単身向けのサイズ、築20年以上経過している建物だった。
その男の部屋は1階の西側で、部屋の前には無人の軽乗用車があり、部屋はカーテンが閉じられて内部の様子はわからない。妻に電話するが、やっぱり出ない。仕方なく駐車場に戻り、しばらく待つ。

しばらくするとさっきのアパートにあった車が駐車場に現れる。運転席には若い外国人風の男、そして助手席側の後部座席に妻の姿が見えた。車から降りた妻は自分を見ると、驚いた顔をしていた。男も俺の視線と妻の反応を見て察したのか、そそくさと車を走らせその場から去った。妻は驚いていたが、悪びた様子もなく、俺に「何で居るの?」って言った。俺は怒りのあまり何て声をかけたのも覚えていない。もっと妻に言いたいことはたくさんあったけど、言葉が出てこない。体が震えている。吐き気もする。しかし、ふっと我に帰り子供達を置いてきたのを思い出し急いで娘達の元に戻る。とりあえず妻は自分で帰れるだろうと思い、妻のことはほったらかしにした。これからの事と、妻とあの男に対する怒りが込み上げてくる。どうしよう、最悪だ。本当に最悪だ。

娘達のところに戻ると、寂しいそうな顔をした次女と、泣いている長女を確認した。当然だ、突然父親がいつもと違う雰囲気でどこかに行ってしまうんだから。いくら「すぐに戻るから、大丈夫だよ」って言い残しても不安は感じたはずだ。2人に謝罪し、娘達を車に乗せようとした頃、妻の車が練習会場に着く、しかし長男と次男はいない。長男と次男は練習のあと、娘達と別行動で近所の友達の家に行っている。俺は妻の車をなるべく見ないようにして娘達と自宅に向かった。息子達は当初の予定通り、妻が迎えに行く事になっている。
自宅に着く頃には長女の機嫌はいくらか良くなっていた。あと娘達と一緒になり、自宅に着いてバックミラーを見て気付いた。俺の頬に涙がつたっていたことに。慌てて涙を隠したが、多分長女にはバレていただろう。長女は車を降りる際、後ろから追い抜きながら思いっきり俺の肩を叩いてこう言った。「許すよ」って。思わずまた泣きそうになった。そして俺は娘にこう返した「今日はごめん、何があったかは言えないけど、いつか大人になったら今日何があったのか分かるかもしれない」って。