こんにちは。

もうずいぶん昔のこと。学生時代に先輩と何かの拍子に、小説に出てきた料理でいちばん食べたいものは?って話をした。
その人は、「どの料理ってわけじゃないけど、あの店に行きたいなぁ。」と、ある小説に出てくる食堂を教えてくれて、あぁその人らしいなぁと思った記憶は鮮明なのだけれど、自分が何て答えたかは覚えていない。それだけ、その食堂のインパクトが大きかった!

小説の中の魅力的なお店、料理ってあれもこれもいっぱい浮かんでくる。漫画も入れたらいくつになることか。

今の私が1番行きたいお店は、「食事・喫茶 ハタナカ」。

その店は奈良にある。店名に”カフェ”とはついていないけど、カフェ風のお店。店主は、大阪出身のヨシカさん。食品メーカーを辞めてはじめたお店。
出てくるのはこの本の中。
ポースケ/中央公論新社
¥1,620
Amazon.co.jp
メニューには、例えば、大きめのスコーンやパンケーキとポットの紅茶。一食800円の食事。あるお客さんによると、”とりたてて健康志向やおしゃれでもないけれど、懐かしいニュアンスの単純なおいしさがある”。

店内の本棚には、店員さんやお客さんの「売ったりあげたりはしないけど、手元においておくほどよくは読まない本」が置いてある。どうしてだか、ノルウェー語の教則本なんかも。

「ポースケ」はノルウェーの復活祭のこと。
「食事・喫茶 ハタナカ」でポースケの名前を使って春のお祭りをすることになる。

この本は、ハタナカとかかわりある人々(大なり小なりね)のポースケまでの日々。そして、最終章はポースケ当日。

当日、ポースケの前に出された看板にはこんな記述。


「ポースケ・春のお祭り。ハンガリアンウォーター、クロスステッチとフェルトの置物、翻訳、学術本バザー、刑事ドラマ他。
参加者持込料理に、紅茶サービスなど。

夕食会メニューは、牛ステーキ、目玉焼き、ハッシュドブラウンポテト、トースト、牛乳 or オレンジジュース。」

この夕食会、昼間のスコーンと紅茶込みで合計2,500円。行きたいな~。

「食事・喫茶 ハタナカ」が、もし実在するばらば。
私は、2ヶ月に一回、喫茶に現れるかどうかも怪しくて常連にはなれないけど、お店のことはとことん応援してるのよ。って、そんな微妙な距離感のある客になりそう。
店内でポースケのチラシはガン見するけど問い合わせなんてとてもとてもできなくて。
・・・・でも、ポースケの直前になって、勇気を出して夕食会の予約を入れちゃうかも。

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いつもにまして長文になってしまいました。
あなたの行ってみたい、「小説の中のお店」はありますか?

それではまた。今日も感謝して。



「ポースケ」著者の津村記久子さん。
世の中うまくいかないことは多々あるけれど、読むと、マニアな小ネタに肩の力が抜けて、やっぱり好きなものを大事にしようと思える、そんな小説をありがとうございます。