河出書房新社

       『教育』

          遠野遥・著

 

を読み終わりました。

 

 

この小説の主人公は、ある寄宿学校のようなところにいるのですが、そこでのルールはとても特異なもので、オーガズムを得ることは勉強の成績にもいい影響を与えるので、1日3回はオーガズムを得るように、というのです。

 

そしてこの学校では男子だけではなくて女子も同じ施設内にいて、安全な避妊具を付けた上でのSEXを容認しているのです。

生徒たちはあらゆるところ(生徒の部屋、部室など)で堂々と行為に及んでいます。

その場に他の生徒がいても気にしません。

 

外の世界とは隔絶されているようで、その学校に反対する人たちが抗議活動しているようですが、生徒たちにはあまり情報が流れてきません。

 

主人公はひたすらその学校方針に沿って、オーガズムを得ることに邁進しますが、読み手のこちら側は違和感しかありません。

そんな毎日って楽しいのだろうか?と。

主人公はそれまで、学校の言うとおりのことをして疑問に感じたこともなかったのですが、他の女生徒たちなどと関わるうちに、段々とその世界の歪みというか違和感を感じるようになっていきます…。

 

とても読みやすい文章でありながら、そこに描かれる世界は私にとってはとても気持ちの悪いもので、この本のタイトルの「教育」とは、誰のための、何のための、どういう教育なのか?を浮き彫りにしている作品だと思いました。

 

自分のいる世界を疑う、自分の頭で考えることの大切さを考えさせられました。