『2重螺旋の恋人』(2017年フランス/ベルギー)を見終わりました。

 

原作:ジョイス・キャロル・オーツ『Lives of the Twins』(←日本語版は出版されていないのか見つからず…)

脚本:フランソワ・オゾン

監督:フランソワ・オゾン

出演:マリーヌ・ヴァクト/ジェレミー・レニエ/ジャクリーン・ビセット/ドミニク・レイモン/ミリアム・ボワイエ他…

 

見る前はクローネンバーグ監督の『戦慄の絆』のような話かと勝手に思っていたのですが、ちょっと違いました。

主人公のクロエは元モデルで、原因不明の腹痛にずっと悩まされてきました。

病院で精密検査を受けるものの異常なしと言われ、でもクロエ自身はずっと痛みに苦しんできたのでそれを訴えると、精神科の受診を勧められます。

 

で、精神分析医のポールの元を訪ね、カウンセリングを受けることになります。

受診を重ねるうちに腹痛が和らいできて、心の安定をとりもどすクロエ。

次第に互いが惹かれあい、ポールとクロエは付き合うようになり(この時点でポールは仕事とプライベートを分けるためにクロエのカウンセリングは行わず、他の医者を紹介します)、やがて一緒に暮らすようになります。

 

しばらくは幸せな日々が続きましたが、ある日外でポールそっくりの男性を見かけます。

ルイと名乗るその男性も精神科医で、実はポールと双子であると知らされます。

ポールからはそんなことは一言も聞いていなくて、真実を知りたい一心でクロエはルイのカウンセリングを受けるようになるのですが、穏やかでいつもやさしいポールと正反対のルイは傲慢で挑発的な態度でクロエに接してきます。

そんなルイに抗え切れない魅力を感じて、クロエはとうとう一線を越えてしまうのですが…。

 

物語の冒頭は痩せすぎて痛々しかったクロエが、ポールのカウンセリングによって健康を取り戻し、とても魅力的で小悪魔的で、可愛らしくてポールと恋に落ちるのもわかるなぁなんて思っていると、段々ポールが何かを隠しているように見えて(自分の家族の話をしない、姓を変えているパスポートをたまたま見てしまう)、クロエ同様ポールを疑わしく思ってしまいました。

 

クロエの夢と現実はポールとの性的な妄想とルイとの浮気が凄くてちょっとビックリしましたが、段々とクロエの目線で見ている現実が不確かなものに思えてきて、それはあるシーンで確信的なものとなります。

そしてクロエの腹痛の謎がわかるときに、真実が見えてきます…。

 

と言っても自分の解釈が正しいのかどうか自信はないです。

クロエ目線で物語は進行していくので、どこまでが彼女をとりまく現実であとは妄想・空想なのかは何とも言えないです。

二度三度見返すとまた違った印象を受けそうな作品だと思います。

 

 

 

ポールはとても優しくて誠実でクロエを大事に思っている男性。

 

ルイは常に挑発的で刺激的。クロエはその魅力に逆らえません。(ポールとルイの二役を演じたジェレミー・レニエの演技が素晴らしいですね。)