GYAO!にて『天保異聞 妖奇士』(全25話)を見終わりました。

 

2006年から2007年にかけて放送された作品をGYAO!の配信で見終わりました。

會川昇さんの脚本で、ボンズ制作のアニメということで、内容も面白く、とても作画が美しかったです。

 

天保14年、江戸の町には異界から現れた「妖夷」が出没して人々を襲っていました。

人とは違う「妖夷」に対して、「蛮社改所」(ばんしゃあらためしょ)と呼ばれる組織が編成され、そこに属する、「奇士」(あやし)と呼ばれる者たちが対応していました。

 

蛮社改所を取り仕切るのは20歳の小笠原 放三郎(おがさわら ほうざぶろう)。

内田弥太郎の下で算学を学んだ優秀な蘭学者で、甲骨文字にも造詣が深く、冷静沈着な人物。

小笠原 貢(おがさわら みつぐ)の養子となることで「蛮社の獄」を免れた経緯があります。

 

本作の主人公で奇士の竜導 往壓(りゅうどう ゆきあつ)は39歳。

もともとは旗本の生まれでしたが、子供の頃に異界に迷い込み、そこで1年近くも過ごした人物。異界から戻った往壓は実家に馴染めず、そこから飛び出し浮民として暮らしていました。
その際に「漢神」(あやがみ)という森羅万象各々の持つ名前を漢字として取り出し、それに秘められた真の意味を引き出し、己の力とする能力を手に入れました。

その力のおかげで「蛮社改所」に加わることになります。

 

江戸 元閥(えど げんばつ)は古くから江戸を守ってきた前島聖天の神主で27歳。

蘭学者達から押収した大砲などを使い、射撃の腕を活かして戦います。

その美貌を活かして表に出る時は女装していることが多いです。

妖夷退治のほかに、表向きに下町でところてんのぼてふりに扮しています。

 

宰蔵(さいぞう)は歌舞伎小屋の娘として生まれた少女で14歳。

歌舞伎一座の役者として男性として父親に育てられてきましたが、父親が興味があったのは男性の姿だったので、年頃になった宰蔵は日増しに女性らしくなったことで表舞台に立つことを禁止されます。(もちろん、法律上女性が舞台に立つのはこの時代ご法度です)

舞踏用の巫女の衣裳で舞をすると妖夷を鎮めることができます。

 

アビは奇士の中で唯一、素手で戦う術を持つ男性で24歳。

世間とは離れた「山(サン)の民」の出身。

古代の獣の骨を削り出して作った槍を武器として戦います。

料理が得意で、妖夷の肉を保存食にしたり、鍋、焼き肉などお手の物です。

妖夷に攫われた姉ニナイをずっと探しています。

 

奇士の他にも、メキシコで文明を築いたアステカ人の血を受け継ぐ、「メシカの民」の褐色の肌を持つ13歳の美少女アトルや、アトルと一緒にいる馬の雪輪(ゆきわ)、狩野派の絵師でアトルのことを気にかけている河鍋 狂斎(かわなべ きょうさい)の活躍もあります。

 

お話としてのキャラクターと共に実在の人物が出てくるのも面白かったです。

それにしても自分たちが退治した妖夷の肉を食べてしまう…というのは何とも凄いですね。(虜になる味だそうです)

 

 

左上段からアビ、江戸元、真ん中が往壓、左下が宰蔵で右下が小笠原 放三郎。

 

白塗りしたアトルと花魁。