2018/3/30(金) 午前 9:01の感想です。(Yahooブログから移動しています)
STARチャンネルで放送の『FARGO/ファーゴ』S1を見終わりました。
(STARチャンネルはS3の放送に合わせて過去シーズンも一挙放送してくれるので助かります。)
映画『ファーゴ』から着想を得て、新たなドラマができました。
別の物語の別の登場人物であっても、物語の根底に流れる、人の弱さ、邪悪さ、誠実さなどはきちんと描かれています。
S1の主人公はレスター・ナイガード(マーティン・フリーマン)。
ミネソタ州ベミジーで保険の仕事をしています。営業成績は悪く、自信のなさが言動や行動に出るのかお客さんをみすみす逃してしまう感じ。
家に帰ると朝から晩まで愚痴を言いどおしの妻を相手にして、日々の暮らしにうんざりしています。
その妻がいつも引き合いに出すのがレスターの弟のチャズ。
仕事で成功し、美しい妻と可愛い子供のいるチャズをほめたたえ、自分がチャズの妻になれば良かった、と毒づきます。
ある日、高校時代のいじめっ子だったサムに遭遇し、侮辱され、ケガを負わされます。
治療のために病院に行って待合室で待たされているときに、サムのことをこきおろしていると、一人の見知らぬ男が近づいてきて「代わりにサムを殺してやろうか?」と声をかけられます。
サムへの腹立たしさから、サム殺しを依頼するレスター。(疑い半分、本気半分という感じでしょうか)ローンによってサムはすぐ殺されます。
一方、警察署の副署長のモリー(アリソン・トルマン)は雪原の中で下着姿で死んでいる男を発見するのですが…。(実はその男を殺したのも・・・)
この物語で悪のパートを担っているのが、まず主人公のレスター。
一見人当たりのいい善良な人間にみえますが、自分の不遇さを人に転嫁するところがあって、発作的に妻を殺した後、サム殺しを依頼したローン(ビリー・ボブ・ソーントン)に電話して「助けてくれ」と頼みます。
そしてその妻殺しをローンにおっかぶせようとしたり(見事に目論見は失敗して、タイミング悪くその時レスターの家を訪ねた署長がローンに殺されます)、色々あってレスターは入院するのですが、その時見舞いに来たチャズに説教され、もう面倒を見れない、と突き放されたことに腹を立てて、自分が犯した妻殺し、およびローンが犯した署長殺しをチャズがしたように偽装します。
おまけにその偽装がうまくいくように、レスターからすれば甥っ子のリュックに弾が入ってないとはいえチャズの銃を入れて、わざと学校で発見されるようにして、学校から連絡が入った警察が甥っ子を拘束して、自宅に家宅捜索が入ります。
チャズは狩猟が趣味だったので、ガレージに銃器庫があって、警察がそれを開けると奥扉の中にレスターが仕込んだ凶器のかなづちと、レスターの妻のブラジャーと、その妻のあられもない姿が写っている写真が入っていて、チャズは逮捕されてしまいます。(不倫の末の別れ話のもつれでの殺人、とされてしまいます)
1年後すっかり変わったレスターは、新しい妻とラスベガスに保険会社の表彰式で表彰を受けて(営業成績がトップになって)、すっかり気をよくして奥さんをホテルの部屋へ行かせてからバーで女性でもひっかけようか?なんて不埒なことを思っているときに、すっかり様変わりしたローン(ある目的があって歯科医になりすましていました)を見かけて、よせばいいのにしつこく声をかけます。
知らぬ存ぜぬを決めとおすローンに腹をたて、ローンの連れがいるにもかかわらずエレベーターに乗り込むレスター(本当に愚か…)。そしてエレベーターの中は恐ろしいことになりました。
ローンを本気で怒らせて命を狙われたときに、レスターは妻を連れて外国に逃げ出そうとするのですが、その新しい妻をわざと自分の会社に入らせてローンがいないか確認します。(自分のダウンジャケットを着せてわざと顔をすぐに判別できないようにフードをかぶらせるあたりが本当に恐ろしい…)
そして新しい妻を殺されてしまいます。
もうどうにもならなくなったレスターにどんな未来が待っているのか・・・・・。
ローンが人を殺すときに感情が全く見えないのは本当に恐ろしく、不気味です。
心に真っ黒い穴ぼこが開いているような感じ。
レスターとローンのほかにもローンを殺しに来たギャングの手の者二人のやり口も恐ろしい…。このシーンは映画のあの場面と似ているかも。
こういう邪悪な人たちと対比的に出てくるのが副署長のモリーと元警官で、ダイナーを営んでいるお父さんのルー(キース・キャラダイン)との関係と、この事件がきっかけでモリーと知り合い、のちに結婚するガス(コリン・ハンクス)とその娘グレタ。
この人たちが出てくるシーンはこのおぞましいお話の中で救いとなる場面でした。
全10話と短めですが、とても面白かったです。