新潮文庫

「猫と庄造と二人のおんな」

     谷崎潤一郎・著

 

を読みました。

 

まずタイトルが素敵ですね。

今っぽい感じだし、どんな話なんだろうとワクワクさせてくれます。

 

主人公の庄造と言う男と、庄造と姑に追い出された元妻の品子と後妻に収まった福子、そして庄造がかわいがる猫リリーの物語です。

 

庄造にとって元妻より、愛人から後妻に収まった福子より、リリーへの愛情が一番なのです。

 

追い出された品子はなんとかして元夫を振り向かせたいと後妻の福子に猫をゆずってほしいと手紙で頼みます。

 

庄造のリリーへの並々ならぬ愛情を感じていた福子は、品子に引き取らせることを庄造へゴリ押しします。

 

リリーはツンデレな感じで、庄造は本当にもうメロメロなのが、読んでいて滑稽であり、前妻の品子の夫への想いやリリーに対しての想いの変化などはちょっと切ないです。

 

リリーの描写が見事で、猫好きにはたまらない一冊なのではと思える作品です。