こんにちは。図書室の先生です。


夏休みも後半に入りました。現在、複数勤務校の蔵書点検が終わり、夏休み前に頼んで未納品だった本の受入を進めているところです。


今回は、夏休みに入る前の出来事を書いてみようと思います。


図書館の選書については、各自治体、各学校方針がまちまちだと思います。


私の勤務校では、最初のうちは図書担当の先生方が選んだ本を受入するだけでしたが、最近では先生方の要望を優先しつつ、教科書掲載本、子どもたちからの意見、そういったものを加味し、学校司書が選書リストを作成し、図書担当の先生にフィードバックし購入するようにしています。


昨年度、小学校にこのシリーズを購入したところ、しばらく高学年でヘビーローテーションが

続いていました。



 

 


わりと厚く、漢字もふりがながついているものばかりではない本です。




今年度になってから図書室で見かけるようになったのですが、これを見つけた低学年の児童が貸出していくことがあります。


私の勤務校では、低学年でも読めそうなハードカバーの本を低書架に別置しています。



貸出については学級によってまちまちで、


先生が見て明らかに学齢に適さない本を借り直しさせるところもあれば、


何でも借りればそれでオーケー、というところもあります。


ある日のこと。


週末の私の巡回日に、1年生のとあるクラスがが図書室にやってきました。


担任の先生は出張で不在のため、指導助手の先生が付き添いで「週末読む本を借りる」「図書室で宿題やワークブックをすすめる」という時間になっているようでした。


この学級は、いつも先生に借りる本を見せて、オーケーがでないと借りられない、わりと全体に目が行き届いたクラスなのですが、その日は担任が不在のため、カウンターに持ってくる本が「それ、字、明らかに読めないよなぁ…」というものが多い印象で、『マインクラフト』シリーズを持ってくる子がたくさんいました。


いつも興味はあるけれど、先生に「読めないでしょう?」と言われていて、先生の不在をいいことに借りようとしていたのかもしれません。


私は貸出手続をしながら「この本、ちょっと難しいんじゃない?」「じゃあこの字、読んでみようか!」などと声をかけました。


だいたいの児童がそれで借りるのを諦めたのですが、とある児童が、


「ママと一緒に読むから、読めない字があっても大丈夫!」


と自信満々に言いました。


すると、その前に『マインクラフト』シリーズを諦めた児童も口々に、


「ママと読む!」


と言って、『マインクラフト』シリーズを持ってカウンターに並びはじめてしまいました。


もし私が自分の子どもがこの本を小学校1年生で借りて来たら、「一緒に読むのに付き合いきれないなぁ…」とは思ったのですが、


中には付き合いきれる保護者もいらっしゃるかもしれない…と思い、


その日は貸出しました。


翌週、その学級が図書室に来たとき、担任の先生が、


「今日の連絡帳に『子どもに、ひとりで読める本を借りるように言ってください。』と書いてありました」


なかにはお子さんにも読めるように


「じぶんがよめるほんをかりましょう」


という感じで、ひらがなで書いて来た保護者もいた、と、苦笑しながら教えてくれました。



私は、「ママと読むから」と言われて貸してしまった話をして、貸出可にしてしまったことを謝罪しました。


私は教師ではないので、なかなかきつく禁止をするのに躊躇う場面が多いのですが、


少なくともこのクラスでは、今後、


「その本、難しい字が出てくるから違うのにしようよ」


と、声をかけていこうと決めました。


こうして、ちょっとしたモヤモヤを伝えていただける先生、そして保護者の方がいると、


おたがいに仕事がやりやすくなり、目指すところが明確になるなぁ、と思いました。




実は、読書の意義のひとつは、こういうときの伝え方を語彙的、心情的に学ぶことなのではないかと、私は思っています。


私は、良い環境で仕事が出来て幸せだなぁ、と感じた出来事でした。