こんばんは。図書室の先生です。久々の更新です。


今回は、ここ数年の試みの中から、図書室に設置したリクエストボックスについて書いてみようと思います。



学校司書の複数校勤務というものは、どの学校の子どもたちとも、コミュニケーションを取れる時間が少ない、というデメリットがあります。


子どもたちと話が出来るのが、昼休みの開館時間だけ、という学校がほとんどです。


昼休みの短い時間に、「このシリーズの続きが読みたい」等と、私に声を掛けて教えてくれる子どもたちもいますが、


私が不在の時に図書室に来た子どもたちや、時々しか学校にやってこない私に声を掛けづらいと思っている子どもたちもが、どんな本を読みたがっているのかを知りたい思い、各校の図書担当の先生と相談して、許可をいただいた学校にリクエストボックスを設置することにしました。


リクエストボックスに投函されている本は、コミックやアニメ、ゲームのノベライズがほとんど。漫画自体をリクエストしてくる子もいます。


これを見て、今まで購入されてきた本とのギャップを思い知らされました。


学校司書が入るまでは、課題図書と県のすいせん図書、国語の教科書で紹介されている本、SLBAのセットを中心に購入していた様子です。


こういう言い方は適切ではないかもしれませんが、読書指導などしていない状態で、自宅の本の持ち込みOKになっている結果、新しい本と出会うことができず読む力が付かないので、



学校で選んでいる本の面白さが分からず、読みたい本がない。



だから図書室に行く必要がない、というサイクルになっていたのではないか、そう感じました。


先生方と相談の上、いくつかのリクエスト本を購入したところ、普段図書室に来なかった子どもたちが足を運ぶようになった学校もあります。少しずつ本屋大賞にノミネートされた本などを紹介して、ノベライズ本から次のステップに進めるような工夫が必要だと思っているところです。


さて、ノベライズ本ばかりリクエストされるのも困りものなのですが、違う困りごとも出てきました。


とある日、リクエストボックスを開けると、文豪系のリクエストが入っていました。


「こういう本を読む子もいるんだな」と思いましたが、あまり有名な作品ではなく、私自身がその作品を知らなかったため、どんな内容なのかを調べてみたところ、性的な匂いがする作品でした。しかし、その作品自体は中高生向けの夏の読書フェアなどのブックリストに載って来ることがあるので、選書リストに載せ、学校からも承認を得た上で購入しました。


すると、次から次へと「どことなく性的な匂いがする、あまり有名でない文豪の作品」が次々とリクエストされるようになりました。「新潮の100冊」のような本の中に、女を手篭めにする的な内容の物を散りばめて入れてくるのです。リクエストは記名式にしてあるので、同じ子が投函していることはわかっています。


選書リストを作る時期ではなかったため、しばらくリクエストをストックしていると、今度は既にリクエストボックスに投函してある作品のリクエストカードを何枚も入れてきます。そこで、図書だよりを使って、リクエストは投票ではないため、何度も同じ作品のカードを投函しても購入する可能性が上がるわけではないこと、リクエストボックスは投函された作品すべてを購入するわけではないことなどを周知しました。すると、同じカードを繰り返し投函するのは収まりました。


そんなこんなで前年度の統計を出したある日。


リクエストにこたえて購入した「性的な匂いがする文豪系の作品」がランクインしていることがわかりました。


リクエストした子が繰り返し借りたのだろうと思います。


正直、ゾッとしました。


多感なお年頃であるため、性的なことに興味を持つだろうというのは想定できますが、興味の持ち方が、許容しがたいように思えて仕方がありません。


先生方にリクエストカードを共有したほうが良いのか、悩ましいいところです。