こんばんは。図書室の先生です。久々の更新です。


しばらく更新をしないでいた間、私の勤務する自治体の図書館にを取り巻く環境が大きく変わりました。


その一つが移動図書館車の運行開始です。



移動図書館車の運行というと、本を積んだ車が来て、利用したい人が移動図書館車の係の人に手続してもらって貸出・返却を行う、というのが私が結婚するまで暮らしていた自治体での運営方法でした。公民館や公園などをまわっており、学校には来ていませんでした。





自治体によって色々なのでしょうが、今回の移動図書館車は、学校、幼稚園、保育園、子育て支援施設をまわるとのことでした。普通乗用車に運転手と司書の二人組で来校するとのこと。


正直、私は「困ったな…」と思いました。



私のいる自治体は、移動図書館車運行開始時に図書管理システムが導入されていない学校がほとんど。


貸出返却の管理は紙のカードによるもので、貸出冊数が伸び悩んでいる原因の一つが「カードを書くのが面倒」というものでした。


一方、移動図書館車は図書管理端末を搭載していて、バーコードを読み込むことによって貸出・返却が可能です。




ようやく、子どもたちが読みたい本が揃ってきて学校図書館の貸出冊数が伸びてきたところなのに、


どう考えても利便性に優れる移動図書館車が巡回するようになったら、今までの私の努力は…?


なんだかそんな気持ちになりました。



私の巡回先は、普段はあまり足を運ばないような場所に学校図書館があるところばかりで、


そうした環境的に不利な学校に来て、子ども達の昇降口付近に停車して開館する移動図書館車。


物珍しくて人だかりが出来るのを、


「せめて、学校図書館に図書管理システムが入るまで学校に来るのは待ってほしかったな…」


という忌々しい気持ちで図書室から見てしまう日もありました。


(実際、そうお願いもしました。)


アウトリーチサービスと言いながら、サービスの対象は子どもだけ、というのも「なんだかなぁ…」と今でも思っています。




移動図書館が始まって数カ月経ったある日。



その日はとても暑くて、


昼休みの時間を涼しい学校図書館で過ごそうとする子どもたちが、教室から少し遠い図書室に宿題や授業の小テストの準備などをやりに集まってきていました。


すると、とある先生がやってきて、こう言うのです。


「移動図書館が来てるから、そっちに行ってくれ。学校の図書館の本なんかいつでも読めるじゃないか。あんまり利用者が少ないと『もう来ません』て言われちゃうから、早く行きなさい」


と。



私は数校を巡回勤務しているので、移動図書館の来校日にその学校に勤務というわけではありません。


どの学校にも、移動図書館が来る日には必ず足を運ぶ固定利用者が数人ずついるような話を聞いていますが、


詳しい状況を把握してはいません。



もし、運行初日のような行列が毎回出来ると目論んでいたとすれば、それはかなり詰めが甘いと言わざるを得ないでしょう。


『税金で買った本』という漫画で、


移動図書館の存在意義は、利用者が多いとか少ないとかではかれるものではなくて、必要としている利用者のところに本を届けられるかどうかにある、というような話がありました。



 

 



「利用者が少ないと(移動図書館が)来なくなっちゃうから」という発言は、


運行当初とくらべて利用者が減った様子をたまたまみた先生が、移動図書館の人に気をつかって言ったことなのかもしれません。


しかし、もし、移動図書館の担当者が発した言葉であれば「ん?」という「ひっかかり」を感じてしまいます。


「いやそもそもこっちから『是非来てほしいです』とかお願いしたことあったっけ?」


みたいな気持ちがどうしても湧いてきてしまいうのです。


「『やりたい』というから仕方なく『どうぞ』と言ったけど、人が来なくなると学校のせいとかすごい理屈だなぁ…」


それ以上の言葉が出なくなっていまいました。