こんにちは。図書室の先生です。

 

先日、セロハンテープでの補修が常態化していて修理に時間を取られてしまう、ということを書きましたら、

 

数日後、学校図書館とはあまり関係のない部署から「こういうのを修理するのって、どうしたら良いですかね?」と、写真が送られて来ました。ここに写真を載せることはできませんが、折り畳んで保管する図面のようなものでした。

 

ひろげたり畳んだりするうちに、折り目の部分に負荷がかかり、折れ目に沿って切れてしまったところを、

 

セロハンテープで補強。

 

それが経年劣化して黄色く変色している状態に見えました。

 

 

 

 

上矢印今回問い合わせがあった資料ではありませんが、セロハンテープで取れたページを補修し、10年以上経過した本の写真です。セロハンの部分と粘着部分が分離して黄色く変色しています。
 
 
写真を送って来た方に確認すると「その通り」とのことで、
 
「今年度引き継ぎをした時点でこのような状態で、どうしたら良いかと思っていたところ、図書室の先生なら紙の補修とか詳しいかなと思って」と言われました。
 
確かに私の最初の同僚(公共図書館で20年以上勤務してその後、学校司書になった人)は、本の修繕を大変得意としていました。私は司書資格を取った後、実務の経験がなかったので、修繕に使う道具や消耗品についてはほとんどこの人に教えてもらったようなものです。
 
公共図書館にいた頃は、専ら修繕の仕事をしていたのかもしれません。
 
(いつかきいてみようと思っていたのですが、その前に辞めてしまいました。)
 
ただし私が担当している学校図書館では、丁寧に修繕して長持ちさせることよりも簡易な修理で回転を良くする方が優先される場合が多くて、
 
一番重宝しているのがキハラというメーカーから出ているページヘルパーという消耗品だったりします。
 

 

 上矢印これはスコアテープ、となっていますが、ページヘルパーと同じ品物なのかもしれません。ページヘルパーをpick出来なかったので載せてみました。楽譜を繋げる時に使います。和紙状で半透明なので音符が見えなくなることもなく、また、引っ張りにも強いテープです。

 

 

 

Book Buddy - Yahoo!ショッピングでは「ページヘルパー」として販売されています。

 

セロハンテープが残っているようならシールはがしなどでセロハンテープを剥がした後、ページヘルパーで張りなおすのが良いと思うと話し、そして、退勤時間間際であったため、その日はそのまま帰りました。

 

他の公共図書館で本の修理について調べたところ、ミツワのソルベント溶解液と、刷毛付きのシールはがしが紹介されていました。スプレータイプのシールはがしはすぐに終わってしまうので、今後は液状のものを検討してみようと思います。

 

 

 

 

家に帰ってから、

 

「そういえば、どのくらいの年数保存する資料なのか確認するのを忘れちゃったな…」

 

ということに気が付き、都立図書館の保存・修理についてのQ&A|東京都立図書館 (tokyo.lg.jp)を確認してみることにしました。

 

そこには「10~30年くらいの保存であれば和紙テープやページヘルパーでの補修で良いが、それ以上長く保管する場合は他の方法が望ましい」というようなことが書いてありました。

 

翌日、その旨を追加で連絡し、

 

「長く保存したければ、文化財の管理をしている部署の方が詳しい方がいるかもしれません。私は実際にそこまでの修繕はやったことがないので。」

 

と話したところ、

 

「詳しく教えていただいてありがとうございました。今回のケースはページヘルパーで大丈夫そうです。ページヘルパーで修繕します」

 

とのことでした。

 

普段、職員室に席がない学校もあったりして、

 

子どもたちの教室から遠い場所にある図書室も多く、

 

「具合が悪くなっても、放課後日直の先生が見回りに来るまで誰にも気づかれないままなんじゃないだろうか…」

 

と不安になることもあるのですが、

 

こうして他部署の方から問い合わせがきたりすると、

 

自分の仕事が予想もしないところでどこかにつながっていくのだ、などと思えて、

 

ちょっとうれしいものだな、と思いました。

 

本の読み聞かせやブックトークなどを定期的に行える学校図書館にはまだまだ程遠い状況ではありますが、

 

あきらめずにできることをすこしずつ積み重ねていこうという思います。