危険な中国を理解するために

よわかる共産主義理論 なぜ共産主義国は人権侵害するのか?


マルクスとエンゲルス


この章では、共産主義思想を体系化したカール・マルクス (一八八一 一八八三)について説明します。


マルクスの紹介から始めるのは、少し遠回りな感じがするかもしれません。 しかしマルクスの生涯を知ることは、彼が作った理論を理解するうえで非常に重要です。


なぜなら思想とは、ただの記号ではないからです。 思想には人々の心に訴えかける力があります。ただの論理ではありません。 


思想には何らかの思いが込められています。そして共産主義には、特にこのことが当てはまります。


結論から言うと、共産主義思想に込められた思いとは “怨み"です。


マルクスは不遇な境遇で育ち、多くの人々を怨みました。 やがて社会全体を怨み、さらには神様をも怨むようになりました。


この怨み”こそが共産主義思想の背後にある力です。
さて、共産主義思想はマルクスが一人で書いたのではありません。


マルクスはまず、自分の考えを膨大なメモとして残しました。そしてそれをまとめながら論文として発表していきました。


ところが彼は、それを最後まで完成させることなく他界しました。貧困と病気の苦痛の中で、六十四歳で亡くなりました。 


その後、彼のメモをもとに論文を完成させたのは、彼の盟友のフリードリヒ・エンゲルス(一八二〇一八九五)でした。 


共産主義思想は、マルクスとエンゲルスによって体系立てられたのです。


ですから日本では、共産主義の思想を「マルクス=エンゲルス全集」(全五十三巻、大月書店)として販売しているものもあります。


マルクスは、年をとり、貧困の中で、そして病気の中でも共産主義を執筆しました。命を落とすまで書き続けたのです。恐るべき執念です。 


そのエネルギーの源は、彼の強烈な怨み”でした。実在する人物を怨んだとしても、その復讐のために人生を費やす人はあまりいないと思います。


マルクスはそれほどまでに、神と社会を怨んでいたということです。


では、マルクスはどのようにして、それほどまでの怨みを持つようになったのでしょうか。


次回は
共産主義社会とは 「生産手段を共有する社会」を解説します。

引用索引

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よくわかる勝共理論

より抜粋