asashi.co. コラム
『ものづくりのテーブル』 滝沢 直己
作り手と管理側のバランス
(2011年2月25日)
K―POPの勢いは凄(すご)い。東方神起「Why?」のPVを見た。曲の完成度も高く、全身がドラムのようなダンスに目を見張る。映画、ドラマに始まった韓流ブームだが、いま音楽の波が来ている。
この現象について映画、音楽業界の友人から興味深い話を聞いた。韓国では歌、演技、踊り、言語など、数年かけ過酷なレッスンメニューをこなすアーティスト、才能を開花させるため環境作りをする管理側、それを国力の象徴にと考える政府による、明確な役割分担が成り立っているという。
アーティストたちはパフォーマンスを十分引き上げられてデビューの日を迎え、「取りあえず」はない。成長過程の厳しい生き残りの現実を観客に公開する、視聴者参加型の日本のブランディングとは逆のようだ。それぞれに賛否の議論はあるが、まさに日本と海外のマネジメントのあり方の違いを表しているように感じる。
企業内においても、クリエーティブディレクターやデザイナー、そしてマネジメント側という関係が同様に存在している。
日本では、後者のマネジメント側が前者に対し、理想とするゴールを示さずにスタート台へ向かわせる。前者もまた、行き先の地図も持たず、天気予報も聞かず、準備不足のまま走り出す。すると到着したところは誰もいない砂漠だった! みたいな話をよく聞く。
成功している企業は二つの役割がバランスの良い両輪となり走っている。不思議なことに、日本ではクリエーターというとなぜか組織の中で別枠になりがちだ。経営会議の場ではあまり見かけない。政治の世界もしかり。日本人クリエーターは世界で高い評価を得ている。が、片輪の役割を果たすには経営を学ぶことも必要だろう。
世界において存在感が薄くなっている今の日本。結論を出さない議論はちょっとお休みして、今こそ結束し、行動し、世界へ! じゃないだろうか。
滝沢直己(たきざわ・なおき) :ファッションデザイナー
60年東京生まれ。イッセイミヤケのデザイナーを経て06年に独立。
(おまけ)
KBS World Guide 3月号







