私は相変わらず、ヒロが離れていくかも知れないという
恐怖に怯えていた。
今思えば、バカみたいな事。
ヒロと一緒に暮らすようになってますます私の世界は
狭くなっていった。
私は実家に居る時よりも自由がなくなった。
真綿の鎖で繋がれているかのような息苦しさ。
私は仕事と家、そして食材の買い物くらいしか外へ出な
くなった。
買い物もヒロが帰ってくる前に済ませ、ご飯もヒロが帰っ
てくるまでに作らばければならないという脅迫観念に駆ら
れていた。
私はヒロが家に居る時は一緒にいるべき。
帰宅は私の方が早くなくてはならない。
こんな暗黙のルールが次第に出来上がっていく。
ヒロは私が家に居ないと分かると帰ってこなかった。
一旦、帰宅はするものの家に鍵が掛かっていたらまた鍵を
掛け、一度も家に上がることなくそのままどこかへ行ってしま
っていた。
そしてまた深夜に帰宅するのだ。
どうして普通にしてくれないのだろう?
どうして私が居ないと怒って出て行ってしまうのだろう?
こんな事を思いながらも、私さえ早く帰宅したらそれでいい
のだと自分に言い聞かせていた。