段々、マンションでの生活にも慣れてきた。
しかし、ヒロの外出は相変わらずだった。
飲みに行く時は仕事からそのまま飲み屋に直行。
帰宅は必ず午前様。
まだ特定の女はいないようだったが、電話やメールは
頻繁に掛かってきているようだった。
けれど私はヒロの携帯をチェックする事はなかった。
それを見てしまったら私だけが苦しまなくてはならない。
分かっていたから。
浮気の尻尾を掴んだところで別れられるのか?
きっと別れられない。
分かっていたから私は何も見ない振りをし続けていた。
例え、帰宅時に香水の匂いがしていても。
Tシャツにファンデーションが付いていても。
何があっても私は真実を確かめるような事はしなかった。
一緒に住んでいるのに寂しかった。
こんな事なら一緒に住まなければ良かった。
ヒロなんか好きにならなければ良かった。
寂しくて、辛くて、苦しくて。
いつもみぞおちがの辺りがザワザワしていた。
いつしか私の顔からは笑顔は無くなった。
抗鬱剤の過剰摂取も毎晩。
眠剤も手放せなくなっていく。
ご飯は食べるが、味がほとんど分からない。
そしてこの頃もまだキラがどうしていたのか記憶はない。
私がキラに笑いかける事はあったのだろうか?
今でも何も思い出せないでいる。