<読んだ本> 『海薔薇』(小手鞠るい)



……なんか、こう、もやもやしたものが残った。



なんか”いいトコ取り”みたいに思えるなぁ…。



仕事に恵まれ、(心のすれ違いはあるものの)夫の理解も得られ、「高校時代からずっと想い続けてた」と言ってくれる彼が現れて深い仲になり…って、どうなん? と思う(ひがみ? 笑)。



もちろん主人公・波奈子は波奈子なりに様々な葛藤と闘ってはいるのだけど、外敵らしい外敵がいない恵まれた環境ゆえにドロドロとした醜さをさらすこともなく、表面的には波風立たずスンナリと日々が過ぎていく。



まぁ小説の中のことだからそれでいいのかもしれないけど(笑)、現実問題となったら、そんな小綺麗な様子じゃいられないだろうな~、と思った。



最後の場面で波奈子は”彼”に対して「これからは私が、あなたの海になる。(中略)私があなたを守る。」と心に決める。



だけど「あなたを守る」って大変なことよ~。実際に「一緒に生きていく」ってことは綺麗事じゃない。日々の生活には、好きな気持ちだけでは処理できないような煩わしいこともたくさん出てくるから。



その部分を彼女がどう乗り切っていくのか。後日談を読んでみたいと思う。



☆カープの青木投手が左膝を手術して、復帰までかなりの月日がかかるとのこと。


 心優しい彼がこの辛い日々を乗り越えたとき、今までになかった何かを掴めていますように、と祈りながら待っています。