一般的に日本語が苦手な外国人がやさしい日本語の対象になります。つまり、少しは日本語が話せるが、話が進んでいくとついていけなくなるという人です。考え方としては、文章を短縮し、難解な表現を省くことで日本語が分かりやすくなり外国人でも理解でき、日本人側では英語を使う必要がなくなる、ということでしょう。しかし、一般的にそうであるにしても、やさしい日本語の目的次第で使い方が変わる場合があります。公表文書に使うやさしい日本語と、友達と話す時のやさしい日本語は同然ではないように、やさしい日本語を使う上で、どの目的で使うのか、相手が誰になるのか、意識する必要があります。本記事では、やさしい日本語のいくつかの目的に触れていきたいと思います。 

 

  • 情報提供 

いわゆるやさしい日本語の原点です。特に自然災害の時に素早く適切な非難情報を届けるのにやさしい日本語は役に立ちます。そして、自治体でも、保険やビザのことなど、生活にかかわることをやさしい日本語を使って知らせると伝わりやすいでしょう。外国人が分かりやすい上に、日本人が母国語である日本語が使えることは利点です。主に文書で情報を提供することが多いですから、きちんとしたやさしい日本語の文法に従う必要性が高いです。 

 

  • 交流 

話すためのやさしい日本語です。外国人に伝わりやすいことに加えて、やさしい日本語は異文化コミュニケーションを図るのに有効な手段です。言葉の壁を低くし、日本語を共通言語にすることによって、緊張感が和らぎ会話がはかどります。この面を生かし、情報提供に加えて、観光の場面で案内や交流のためにも積極的にやさしい日本語を活用しているところが増えています。交流することに眼目がありますから、文法的なルールに従う必要が高くなく、比較的に自由な形で相手と合わせながら話すことができることが特徴です。 

 

  • 居場所づくり 

市役所での住所登録、仕事、近所の人々との交流、買い物、銀行口座の開設など、在日外国人にとっては、ある特定の場面ではなく、生活全般にかかわることを考慮しないといけません。居場所づくりのためのやさしい日本語は、生活の困難を低減することによって、生活しやすくなり、日本での居場所を見つけることが目的です。情報提供と交流に加えて、仕事でのマナーなど、様々な場面でやさしい日本語が必要になってくると想定されます。 

やさしい日本語の使い方は様々です。使い方によって、対象としている外国人が変わるかもしれませんが、どの場合でも、外国人への日本語の負担を減らすことが目的であることには変わりありません。