私が勤務する小学校に、とても流暢に英語を話す女性の先生がいる。週に一度、英語を教えに来るオーストラリア人の先生とも、いつも英語で話している。その会話だけを聞いていると、まるで外国人同士が話しているように聞こえる。ところが、その先生は英語の先生ではなく、国語の先生なのだ。私は驚いて、先生に「先生は外国にいたことがあるんですか」と聞いてみた。

すると先生は、「はい。私は小学校3年生のときにアメリカに行きました。アメリカに行ったときは英語を全く話せなかったので、一人ぽつんと教室に座っていました。私の妹は3歳下でしたが、いつの間にか私より早く英語を話せるようになりました。私自身がネイティブのように英語を話せるようになったのは、アメリカに行ってから1年ほど経った頃です」と話してくれた。

 

 

それに比べて、私が「中国語で会話ができるようになりたい」と思って台湾に留学したのは、65歳のときだった。

「謝謝」と「你好」くらいしか分からないのに、「台湾に行けば、何とか話せるようになるだろう」と勝手に決めてしまった。最初は中国の遼寧師範大学へ行くつもりだったのだが、コロナ禍で留学そのものが中止になった。

今になって考えれば、「コロナさん、ありがとう」である。もしあのまま中国へ行っていたら、きっと地獄を見ていたに違いない。

台湾留学は約1年間。しかし、「中国語が話せます」などとは、とても恥ずかしくて言えない。

何しろ、日本語しか話せない状態で、台湾人の先生から中国語で授業を受けるのである。先生は、学生が中国語の基礎くらいは当然知っているものとして授業を進める。細かい説明などしてくれないし、授業のスピードも早い。

何を言っているのか、チンプンカンプンだった。

そこで、授業以外の時間は図書館で勉強した。教科書は中国語と英語で書かれている。英語だって自信がない。それでも、中国語よりは英語の説明のほうがまだ分かりやすいので、まず英語を日本語に訳して理解する。

ところが、その理解が正しいのかどうかも分からない。

幸い、いちばん初歩のクラスでは、以前、日中学院で学んだ経験もあったためか、奨学金をいただくことができた。もっとも、日中学院は落ちこぼれて中退しているのだが。

しかし、次のクラス以降の成績は下降線を辿る。

 

では、留学した私は中国語を話せるのか。

そう聞かれれば、「話せる」。

……ただし、相手が私の中国語を聞き取れるかどうかは分からないし、文法だって怪しい。

では、中国語を理解できるのか。

そう聞かれれば、相手がゆっくりと、学校で習うような標準的な発音で話してくれれば、何とか理解できることもある。

つまり、ほとんどの場合相手の会話のスピードが私の変換能力を超えている。

また、台湾の高雄で暮らすおじちゃんおばちゃんは、中国語と台湾語を混ぜたような話し方をするので、尚更分からない。

 

もし、このブログを読んで「私も留学してみよう」と思う人がいるなら、ぜひ言っておきたい。

留学する前に、文法と単語はしっかり勉強しておいたほうがいい。

そうしないと、現地に行ってから無駄にする時間があまりにも多くなる。

そして、もう一つ大切なのが英語力だ。

海外の学校では、世界各国から来た外国人と話す機会がある。しかし、相手も中国語が十分に話せるとは限らない。そんなとき、結局は英語でコミュニケーションを取ることになる。

英語も中国語も十分に話せない私にとっては、これもなかなか厳しい現実だった。

それでも、本当に語学を身につけたいのであれば、できるだけ日本人がいない環境に身を置き、聞きたくなくてもラジオやテレビから一日中中国語を浴びるように聞き、中国人を見かけたら積極的に声を掛け、周囲の人の会話にも耳を傾けることが大事だと思う。

 

65歳から始めた私の中国語留学は、決して華々しい成功談ではない。

しかし、だからこそ分かったこともある。

語学は、若いうちに始めたほうがいい。それは間違いない。

けれど、年齢を理由に諦める必要もない。

ただし、私のように「行けば何とかなるだろう」と、ほとんど何も知らずに飛び込むのは、無謀であまりお勧めしない。というか、やめた方がいい。

 

なぜ、こんな事を思ったのか? 

それは、綾部祐二さんのN高特別授業での動画を見て、とても参考になったからです。

留学に行く前に見たかったな、この動画。

【N高グループ 特別授業】英語が喋れないのに海外移住?! ピース・綾部さんが語る「人生一度きり」の本当の意味」とは

でした。