7. クチナ

 クチナシの花をご存知ですか?

 初夏になると、白い花を咲かせます。その匂いは、朝の眠さも吹き飛ぶほど素敵な匂いです。

 私の学校へ行くまでの通学路には、クチナシの花が左右の花壇に植えられています。気づいたらいつもパッと花を開かせて、その花を見ると、ああ、夏だなといつも感じています。

 好きな花はたくさんあるけれど、私はクチナシの花が一番好きです。

 でも、学校のみんなはあの花の名前を知りません。

「いい匂いだね。何の花かなあ?」

 と言っています。

 少し優越感?一人で微笑んでいるのは、秘密です。

 朝、学校へ行くときも、夕方、学校から帰って来る時も、そのたった一瞬の通り過ぎる所で、私の心は満たされて、幸せな気分になります。

 あと半年ほどの中学校生活であの道を通るのは、何回になるでしょうか。

 そう思うと寂しくて、ちょっぴり悲しいです。

 

 でも、私は毎年六月の半ばに原点に戻るようにしています。四つ葉のクローバーを探しながら、家の近くにある坂の所に座って、大きな空を見上げるのです。

 そこで本を少し読んで、思い出に浸ります。

 ロマンチスト?母は昔からだと笑っていました。

 中学校を卒業したら、クチナシの咲くあの通りを、中学校の原点として、私の心の中にずっと留めておきたいなと思います。

 

 小学校は坂

 中学校は通り


 次の原点はどこになるんだろう?ちょっと楽しみです。

 

 咲坂 葵

 次の羅針盤の文字は、し。



6. ろうそ

 

 東日本大震災の時、どれほど人はろうそくの小さな明かりに元気づけられたことでしょう?

 あのほのかな明かりは、今も人の心を少しずつ照らしているのだろうと思います。

 

 昨年度の冬、三年生を送る会で〝塔の上のラプンツェル〟を見ました。とても素敵なお話で、最初から最後までずっと目を離せませんでした。

 夢の中に連れて行ってくれる。それがディズニーアニメーションの凄さだと私は思います。

 〝塔の上のラプンツェル〟の場面で、ラプンツェルの誕生日にお城から気球が飛んでくる場面があります。その場面は、本当になんといったらいいのか胸の中がキュってなります。

 あのほのかな明かりの中で、船をこいでいる時間……。きっと素敵なことだっただろうなあと思います。



羅針盤にうつる最後の文字

 


明かりというものは、人々に小さな希望や夢を与え続けているのだと感じます。

暗い夜道を歩いていても、明るい電気や光が見えたら安心するように、目の前が光で満ち溢れたのなら、幸せで満ち溢れていくと思います。

みなさんはそんな経験ありますか?

私には、光のように見ていると希望を持てる人がいました。とてもいい友達で、よく笑っていました。転校しちゃったけれど、その人との思い出はきっといつまでも私の胸の中で、小さな明かりとなって、私を照らし続けてくれると思います。

そんな人に出会えたのは、奇跡だというのでしょうか……?

 

咲坂 葵

次の羅針盤の文字は、く。

5. 水(みずい)

 

 秘色(ひそく)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 秘色は色の名前で、空色よりも薄く、少し黄緑がかった淡い水色です。百緑に少し似ているような気がしますが、百緑はもっと淡い黄緑に近い色です。

 秘色は、青磁色とも呼ばれています。

 


中国の唐から宋の時代にかけて越州窯(えっしゅうよう)で焼かれた磁器の色が青磁色です。その中で最もすばらしく色がでたものは、時の天子(帝王)に献上され、臣下は用いることができませんでした。そのため秘色と呼ばれたのだと言われています。

      〝道行 めぐ 「花空色の美しい日本語帳」 永岡書店〟

 

 

 私、秘色が大好きです。すごく綺麗な色ですよね……。水色といわれると、いつも秘色を思い浮かべてしまいます。水色をパレットに出して、水をいっぱい含ませた筆で画用紙にその色をたらすと、秘色のような薄い水色ができます。その色が大好きです。

 

 

 私は小学生の時、茜色が好きでした。好きな人がいつも赤いジャージを着ていたからです。夕方、一緒に帰ってくることもあって、赤色のジャージが夕日で茜色に染まっていました。あの時の光景は今も忘れられません。

 でもやっぱり、人の好みは大きくなるごとに変わって来るものですね。あんなに好きだった茜色から、黄色にかわり、今は秘色がすきです。

 なんだか悲しい気もしますが、少しずつ大人に成長できているのかもしれないと、胸を張っています。

 

 みなさんは好きな色ってありますか?

 何か思い出の色だったりしますか?

 

咲坂 葵

羅針盤の文字は、ろ。