「10年後、大切だと思うあの場所で逢おうね」
なんて映画の
【冷静と情熱のあいだ】のまねではないけど
そんな約束をしたことがあった
中学の頃
大好きでいつも一緒にいたけど
好きという気持ちは
言えるはずもなく
私の家が引越しで
遠い街へ行くことになった
その日、列車で旅立つとき
ホームまで来てくれて
手作りの人形をくれた人
「私と思ってね」
神戸の震災の時
心配で手紙をくれた。
その時、パソコンしだした私たちは
アドレスを交換して
メールのやり取りをしたり
手紙を書いて投函したりした。
いつもポスト覗いて
手紙を待っていた。
彼女の文字が大好きだった。
彼女は、結婚して子供ができていた。
写真が欲しいといったら
家族の写真送ってきてくれた。
旦那がいても
子供がいても構わない。
好きな気持ちが溢れて
飛行機のチケット買って
いきなり
「今から会いに行くから」と
ドキドキしながら搭乗した。
(大好きな人に会いに行く)
空の上で、上の空笑
空港に降りたったら
南国の空。
レンタカー借りて
住所をたよりに
レンタカー屋さんにあった地図を見て走る
青い海がきらきら光ってる。
外国みたいだった。
急に行くっていったけど
家にいるのかもわからない。
今みたいにナビもないから
たどり着くのかもかわからない。
それでも走り続けた。
かなり迷って
本当にいけるんだろうか不安になった。
当時は携帯もなかったし
メールはパソコンでしか出来なかったから
連絡の取りようがない。
でも、絶対逢いたい。
その想いだけ。
団地の一角
やっと見つけてブザーを押したら
彼女は、本当におどろいたみたい
第一声
今でも覚えている
「帰ってください」
ここまで来て、それは受け入れられない。
あの時の自分は
今と違って、ガムシャラ感いっぱいだった
逢うのは17年ぶりくらい。
あの時の面影残したままだ。
風で白いカーテンが揺れている
リビングで
「お腹減ったでしょ」と
パスタ作ってくれたのを覚えている。
中学の時から、好きだった想いが
溢れて抱いてしまったけど
受け入れてくれた。
会社休んで、急に逢いに来たから
帰らなくてはならない。
子供が帰ってくるまでと
空港まで一緒に来てくれた。
2時間の逢瀬だったが
幸せだった。
遠距離だし
やりとりは手紙だったし
最初はそれだけで幸せどったのに
どんどん欲しくなる
独占したくなる
既婚者相手だから
いずれ別れはくるだろうけど
逢えない時は
切なくて仕方なかった。
10年後、あの場所で待っているから
あの場所って想像する
二人の場所が見事に違っていたのが
笑えたけど。
その10年後の約束の日からもう
8年も過ぎてしまった。
酷い別れ方になったし
連絡先もわからなくなったし
本当に
「ただ好きでいる」って
どうしても出来ない
一緒にいる時だけが本当って
そんな感じ
半年で破綻したけど
たまに
どうしているかなあって想いだす。
何処かの街で
幸せに暮らしてはるかなあ。
そんな想い届くのかな