(前置き)
本稿から何回か続くこの概念シリーズは非常にハイレベルな内容となっています。
私が友人などの家にお邪魔してまずよく見るのは、
Yラグによる端末処理をしていない
配線が絡まっている
オーディオ用の壁コンがガッチリ固定されていない(音を開放的にするために緩く固定するということを勘違いしている事がありました。この緩く固定するというのは、あくまでコンセントプレートの話しです。基本的にはオーディオではガッチリと固定する事が大切です)
ルームアコースティックが正しく行われていない
機器に埃がかぶっている
スピーカースタンドにハヤミなどの1万円前後程度のものを使用している場合には、最低でも3万円程度のものを使用する
ノイズフィルターやLanフィルターを使用しない(特にサージガードやオーディオ用ではないノイズフィルターを使用しない事)
ストリーミングでは最低でもモデムと光回線終末装置のアナログ電源化をしている(ifiなどのスイッチング電源を使っていない事)
スピーカーが床に直置きではなく、大理石ボード、オーディオボード、スタンド、スパイクなどの上に置かれている。
機器類を床に直起きしていない
自己流でホームセンターなどで調達したオーディオ用ではない素材をインシュレーターやボードなどとして使用していない事
その他、自己流のオリジナルな事をしていない事
これらは基本的な事ですが、音質の面では非常に重要な要点になってきます。そのためこのような部分にまだ気がかりな所がある場合には、当記事はご参考にならないかもしれません。では以下、本文です。
今まで沢山のオーディオセットを組んだり、沢山の友人知人宅でオーディオのセットアップから筐体を開けての整備ハンダ付けや各種の加工そしてアクセサリーの選択などおよそ30年に渡ってやり続けてきて、私が得た最も大きな視点があります。
「リニアか非リニアか」
この選択がオーディオにおいてとても重要な意味をなします。
かつての私は高音質とはリニアそのものであり、良い音質を目指すためにはライブ会場、生音アコースティックライブ、コンサートホール、クラブなどで聞くあのダイレクトな音を自宅で再現する事、いわゆるオーディオの界隈で原音主義と呼ばれるものであると考えてきました。
そのため、例えばノーチラス801にpass x600 マクレビno32.Lにsoulnote、ediscreationのシステムではラックからルームアコースティック、インシュレーター、ケーブル、壁コンなどに至るまでトコトン、リニアな傾向のものを選んできました。
ある時、気がつきました。
システムがあまりに超高性能すぎてしまったのです。
それはオーディオとしての高性能ではなく、エンジニアの経験がある私は、そのようなプロ用のレコーディングサウンドを忠実に表現する様な音を目指してしまったのです。
その時、"音が怖い"という感覚を体感しました。
高音質すぎてドラムのスネアは耳の1CM手前で叩かれ、ベースはスラップ音が心臓をえぐりました。
東京ドームなどで行われるハードロックのライブや道玄坂の有名クラブで体感した迫力のあるブラックミュージックやビッグビート、ハウス、ダブステップの脳が揺れる低音、それらを超えて解像度とパワーと下まで伸びる低域のブルンと空気が振動するパワーに怖くなってしまって長時間まともに聞けないのです。
もちろん、解像度が高いため疲れる様な事はありませんでしたが、ただただ怖い。
そんな時に、B&OやBOSEなどのリラックスサウンド、その他にもケンブリッジオーディオやLINNなどの心地よい空間演出系の音に惚れ込み、音楽とは心地よくなくてはならないと感じる様になりました。
同時に、私はただリニアで高解像度な音を出す様な、これらはテストでいえば100点なのですが、そのようなアクセサリーには足りないものを感じ始めました。
国産系のメーカーにはこの様なものが非常に多くあります。オーグライン、アコリバ、タオック、TAD、パイオニア、テクニクス、DELA、フルテックなどでしょうか。(後述に書きたいと思いますが、これらは使い所や要所が大切であり決してこれらを否定するつもりはありません。むしろ使うべき場所や全体の傾向から積極的に取り入れるべきケースも多々あるかと感じます。)
また同時にこれらの国産の高価格帯にないものを求めると自然と海外のメーカーに視点が行きます。
オーディオクエスト、purist audio design、van den hul、ediscreation、レビトン、(ecler)、ムント、パス、ノードスト、マッキントッシュ、DALI、LINN、B&O
他にもたくさんあるかと思いますが、この辺りはリニアだけがオーディオではない、原音主義である必要はないという価値観を知る機会を与えてくれます。
そこで、私は、高音質とは様々な方向に色んな種類の高音質がある事を知りました。
これは言葉で表せば非常に簡単なことです。
①静かな空間で繊細な響きを味わいリラックスした、広がりのある、心地よい音に満たされる空間
②眼の前で聞くプロのバンドセッション
この違いは読者の方にも、それぞれ異なる高音質である事がすぐに判別できるものかと思います。
ですが、これを自分のものにして、今のオーディオをリラックス方向にもってゆくか、それともパワー方向にもってゆくか、という判定をした上で己のオーディオ知識をフル活用してその音を作ってゆく作業には、やはり様々な機器アクセサリーを試し聞いてゆくという経験が必要になると感じています。
リニア=分析的で、原音に忠実、測定的な精度を志向
非リニア=音楽性や情緒を重視し、人間的な心地よさを優先
という対比の中に、現代オーディオが抱えるジレンマや選択の本質が凝縮されています。
そのように考えると、例えばネットにあるレビューなどでこれは素晴らしい音だ、などとしているものが実際には自分の環境には合わなかったという多く聞く意見には合点がいくものと思います。
機器やアクセサリーを選ぶ際、それが高音質がどうかはそこそこに、それ以上に大切な事は"どのような傾向の音であるのか"という点が大切になってきます。
それでは、次の記事から、それらの"リニアと非リニアの機器とアクセサリーの使い分け"を書いてゆきたいと思います。