今日は「頑固おやじ」が来る日だ

大声で怒りまくってくる男性の患者さんのことだ

周りの人全員が敵で信用ならない、というタイプ

 

地雷を踏まないようにいつもヒヤヒヤ

「頑固おやじ」が声を荒げ始めれば、私の胸はさらにドキドキ

なかなか大変な頑固おやじさんのため、毎回毎回、見えない激しい攻防を繰り返している

 

でも、今日の頑固おやじはいつもと違ったのだ

通院がだいぶ長くなり、ちょっとずつは信頼してくれるようになったのか

日ごろの悩みを、口重くだが話してくれた

詳細は書かないけれど、要するに、孤独死を心配している、という内容だった。

 

 

「あの、、、まだお若いし、とりあえず今の身近な知人とちょっとずつ親しくしていかれたらどうでしょう?」

 

 

いつもなら恐れ多くて提案しないけれど、今日は勇気を振り絞って言ってみた

頑固おやじのお悩み相談にこたえたくて、ついつい調子に乗って大胆になってしまったのだ

結果は、、、

 

この歳で友達なんかできるわけないっ!!

 

と、案の定、大声でキレられた💦

ものすごいご立腹だ

ひぇ~やっちゃった

すみません、身の程わきまえず、ちょっと距離を詰めすぎました💦

気を取り直して、、と。

 

しれっと話題を変えて、色々と不満やらを訴えられるのを聞いていく中で、この方には、死後に関してのサービスをやっている会社を何社か紹介することにした。

自分が死んだあとちゃんとやってくれるか心配、誰も信用できない、と息巻いてらっしゃった方だけど、「その会社のことはちゃんと病院でも把握してチェックしてますよ」、と言ったら安心してくださったよう。

 

誰のことも信用できない、孤独死を心配されている方で、どこにも相談できる人がいないというのならば、思い切って心療内科、精神科をとりあえず受診されてみるのもいいと思う。

 

 

「最も悲惨な貧困とは孤独であり、愛されていないと感じることです。」

マザーテレサの言葉だ。

誰でもいいので、とにかく人とつながって、誰かをちゃんと信用できれば世界の見え方も違ってくるに違いない。

 

 

今日はいつものマインドフルネス推しがなかったけれど、精神科病院ではマインドフルネスをあえて勧めないことも多い。

この方のように主治医と良い関係を築くことだけで、十分人生の幸福感を高める、という方もたくさんいらっしゃる。

 

 

そして、頑固おやじは、「時間がないけど、そっちが悩みを聞きたがるから時間を割いて話してやったぜ」というオーラ全開で、診察室を後にした。

頑固おやじの懐に入るのは、いったいいつになることやら。。。